ぶみ

ミンナのウタのぶみのレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
3.5
きっと、あなたも口ずさむ。

清水崇監督、GENERATIONS from EXILE TRIBE主演によるホラー。
カセットテープから流れるメロディーを聴いた人々が、不可解な出来事に巻き込まれていく姿を描く。
主人公となるGENERATIONSメンバーを本人(白濱亜嵐、片寄涼太、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太(ただし、俳優業はやらないとする数原龍友はライブシーンのみ))が演じているほか、彼らのマネージャー・角田凛として早見あかり、凛からメンバー失踪事件の調査を依頼された探偵・権田としてマキタスポーツが登場。
物語は、パーソナリティーを務める小森のラジオ番組に、カセットテープが入った封書が送られていたのが判明したことをきっかけに、小森が失踪したり、他のメンバーに不可解な現象が起きたりする様が描かれるのだが、私はGENERATIONS自体、グループ名は耳にしたことがあったものの、顔と名前は全くわからず、そもそも、本作品を観るまでは、ジャニーズ系のグループがと思っていたレベル。
そのため、本人役で登場していることに対し、何の思い入れもなく、フラットな状況で観始めたところ、作品中で捜査を依頼されるマキタスポーツ演じる探偵・権田も同じレベルであり、序盤に、話の自然の流れで各メンバーの人となりが紹介されていく展開になっていたのは、非常にありがたかった次第。
清水監督と言えば、最近では『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』といった村シリーズや、『ホムンクルス』『忌怪島』が記憶に新しいところではあるが、いずれも、予告編がピークで、作品自体は、あまりさえないものが多かっただけに、本作品もハードルも下げまくっていたところ、なんのなんの、最近観たジャパニーズホラーの中では、一番の出来栄えであったのは嬉しい誤算。
特に、前述の一連の作品群が、妙にこねくり回した脚本により、話の全体像が見えにくかったのに対し、本作品は、過去の映像が挿入されるものの展開自体はほぼ一本道であるため、初心者にもわかりやすい内容となっているのは、良かったところ。
とりわけ、中盤にある、とある家を訪れたシーンでは思わずビクッとなり、声が出そうになったほどの驚きがあり、近年観た中では怖さナンバーワン。
また、マキタスポーツ自身、BS12トゥエルビで、スージー鈴木とともに『ザ・カセットテープ・ミュージック』なる番組をやっていただけに、カセットテープ繋がりにニヤッとした次第。
正直、GENERATIONSが主演である必要性は感じられず、事実上の主演はマキタスポーツと早見と言っても過言ではないような展開ではあるが、ホラーの間口を広げるという点では、非常に意味があることであるとともに、わかりやすい内容により、純粋なホラーとして楽しむことができた一作。

ジェネレーションズ?知らねえなあ。
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