ジェイD

ミンナのウタのジェイDのレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
4.0
ここ数年で一番背筋が凍ったJホラー。音の恐怖をあらゆる角度から浴びせてくる清水崇映画。愛(Love)、夢(Dream)、幸福(Hapiness)…それらすべてを呪いに変える令和最凶Jホラープリンセス爆誕。

LDHの人気グループGENERATIONSのラジオ番組の収録中、メンバーの小森は掠れたような奇怪な声を聞く。そして翌日、カセットテープという謎を残して彼は失踪する。マネージャー、探偵、メンバーがその謎を追うと、高谷さなという少女の存在に行き着くが…。

『呪怨』を作り出した清水崇のセルフオマージュ集であり、GENERATIONS本人を使った過去作の再構築。爽やかなジェネの楽曲を流しても拭いきれないジメッとした気味の悪さ、恐怖のバリエーションの多様さ、あまりに怖すぎる「お母さん」など、特に後半の怒涛のホラーギア爆上がり感が凄まじかった。

自分が過去にダンスをやっていたこともあってジェネはある程度知っていたが、こんなにも配役が良かったとは。先陣切って消える小森隼、何故か当たりが強い白濱亜嵐、肌着ピチピチ過ぎんか佐野玲於、中務裕太役中務裕太、よりによって全裸の時に襲われる片寄涼太、一番ガタイが良いのに一番ガクブルするから周囲への被害が甚大な関口メンディー、そして何も知らない数原龍友…。特に霊感のある強キャラオーラを放つ中務さんと恐怖に慄く顔が素晴らしいメンディーさんはもっとホラーに出て欲しい。存分に活躍してから杜撰な結末を迎えるキャラとかやって欲しい。
健康優良男児の最先端を走るようなイケイケなパブリックイメージがあるからホラーとして成り立つのか不安があるだろうが心配いらない。そんな彼らでも勝てない脅威が相手だから。

気づいたら頭の中に流れる"メロディ"の恐怖。目を瞑ればいい…耳を塞げばいい…では対処できない、それどころか少しでも口ずさめば他人にも簡単に移る。
それに準じて"音"の恐怖も凄まじい。カセットテープというガジェットを使った逆再生ギミックや録音されていた音の正体、前述したお母さんの音の歪みなどその襲い方は様々。こんなにも映画館の5.1ch音響を恨んだことはない。

そして人気グループというスピーカーを見つけて全世界に呪いを伝染させようとする最凶ホラープリンセスのサナ。他人の優しさなんて無駄、どう足掻いても自らの願いを叶えようとする。ハリウッドホラーのような因果の怖さじゃない、Jホラーらしい理不尽で無差別な攻撃範囲に唖然。過去が描かれるにしても、彼女自身に二面性があるから同情なんてしようが無いのだが…。

うーわッ怖あぁ…wwwと久しぶりにゾクゾクできる作品だったので夏の一作には最適なホラーでした。怖いけど観やすい良ホラーでしたね〜。

あれ、さっきから流れてるこの鼻歌なに?
ジェイD

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