なお

食人族4Kリマスター無修正完全版のなおのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

SNSで何やら話題になっていたので気になって。

「4Kリマスター」と銘打っていることから想像できるが、日本で一番最初に公開されたのは今からちょうど40年前の1983年。

上映禁止令が出ている国もある「問題作」であり、日本においても今回のようなリバイバル上映を除けば、現在本作を鑑賞できる手段は2008年に発売されたDVD版のみ。
(ちなみにこのDVD版は既に廃盤)

そんな鑑賞ハードルの高さをグッと低くしてくれるリバイバル上映を企画してくれた関係各所にまずは御礼申し上げたい。

※以下、人によってはショッキングな記述があるので、苦手な方はスルー推奨…って、この映画のレビュー欄を訪問してるアナタなら何も問題ないですね

✏️噂にたがわぬグロテスクさ
スプラッタ映画を、それも映画館で見るのはかなり久しぶり。
元々はTwitterにて「実際の動物を殺している~」というなかなか穏やかでない内容のツイートを見たことが本作鑑賞のきっかけだった。

そんなもんで、動物虐待・人体損壊。
血みどろ臓物スプラッシュのオンパレード……かと思いきや、意外。
単なるエログロスプラッタ映画に留まらない社会的テーマを描く一面も併せ持つ、大変な「意外性」を持った作品だった。

無論、上に書いたような凄惨な殺人や殺戮、非常に生々しい動物の屠殺シーンがやはり本作の一番の目玉。
しかも前述の通り、本作で殺されているのはCGや作り物ではなく「本物の」動物なのである。
(これがTwitterでも物議を醸していた)

自分はこんな映画(失礼)を見ようと思い立つくらいなので、グロテスクな描写にはそこそこの耐性があると自負しているが、そんな自分でもまあまあキツい。

特に、食人族の生態を映像に収め有名になろうとした4人の探検チームが惨たらしく殺害されるクライマックスにかけてのシーンは、この手のスナッフフィルムものとしては出色の出来。

80年代映画特有の、というと言葉が合っているか分からないが、やたらにリアルな臓物や人の生首などは、現代のCG映像には出せないスゴ味がある。
ちょっと調子の悪い日とかご飯食べた直後だったらトイレに駆け込んでるかも。

息も絶え絶えのカメラマンが、ブレまくりの映像に収めた仲間たちが無残に殺されていく姿は迫真のリアリティ。
殺され方は「鋭い刃物でスパン!」…などという思い切りの良さは持ち合わせておらず、ただひたすらに鈍器でめった打ち。
探検メンバーの紅一点は強姦された挙句に殺されるというかなり胸糞の悪い最期を遂げる。

しかしこの探検メンバーもジャングルの道中で悪逆非道の行いをしてきたので、「因果応報」妥当といえば妥当な結末である。

✏️食人族は誰だ?
さて、もう一つ書きたいのが本作で描かれる真の(?)テーマ「野蛮人はどちらだ」というものである。

先にジャングル入りした男女4人の探検チームは「有名になりたい」ただそれだけの理由で原住民たちの生活を壊し、殺人を行った。
また、この探検チームの凄惨な映像を「儲けたいから」その理由一点でテレビ放送しようとしていたテレビマン。彼らもまた同罪だ。

「有名になりたい」
「だからあんなことをした」
…これって、昨今問題になるSNS上での「問題行動」を行った犯人たちが使う常套句ではないか。

古くはコンビニのおでんをツンツンしてみたりだとか、冷蔵庫に入ってみたりだとか、最近だと回転寿司の醤油差しをペロペロしたり回っている寿司にアルコールの消毒液を吹きかけるという事件も発覚した。

今も昔も、人間の下卑た自己顕示欲や承認欲求というものは変わらない。
面白半分や興味本位で、それらの欲を満たすためだけの行動をしていませんか----

教授のシメのセリフ、
「食人族は誰だ」
にはそのような問いかけが含まれているようで、今もこのシーンの教授の表情と声のトーンが心に残っている。

先に書いたような問題行動が後を絶たない現代社会にも通ずる、強烈な皮肉の効いたメッセージだ。

☑️まとめ
他に類を見ないグロテスク描写と、初めての公開から40年経った今リバイバル上映をするところに何か意味があるのではないか?と勘繰りたくなる社会的メッセージをも持ち合わせた良作。

とはいえ、「昔の作品だから」の一言で片づけるにはかなり酷すぎる本物の動物を殺すという撮影手法は到底擁護できるものではない。
そういう意味では、この映画を作ったスタッフも教授がいう「食人族」の一員なのだ。

さて、いつもは5種目で映画の評点をつけているところですが、グロ耐性がある方だと思っていた自分に若干の吐き気を催させるレベルの胸糞描写をしてくれた本作に敬意を表し、胸糞ポイント★2つを加点させていただきます。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★☆☆
🤮胸 糞:★★(特別加点)

🎬2023年鑑賞数:55(25)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

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