ミサホ

瞳の奥の秘密のミサホのレビュー・感想・評価

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
4.0
タイトルだけ、ずっと記憶にあったアルゼンチン🇦🇷の作品。
DVDには大人の恋愛映画…とある。
…と同時に鮮烈で哀しい復讐劇であり、サスペンスドラマでもある。

とにかく渋い作品だ。

駅や裁判所など、アルゼンチンのクラシックで重厚な建造物も目を引く。また、家の調度品や家具も味があり、美術の美しさにとことんこだわっているなという印象。

検事を辞めて、今は小説を書いている主人公のベンハミン。結局、司法では裁けなかった25年前の、ある凄惨な暴行殺人事件。それにまつわる忌まわしい記憶と後悔を胸に秘めながら、その事件を題材に本を書く。

25年前の現役の頃、上司のイレーネに密かな想いを抱いていたベンハミンの“愛の行方は?そして、殺人事件の犯人は果たして捕まるのか!

その2つの主題を現在と過去(事件当時)を行ったり来たりして見せる。過去と現在の繋ぎ方はとても自然で難なく移行出来る。

事件の犯人が親に当てた手紙から、彼の日常や趣味を分析していき、逮捕に繋げる過程には胸がすく。

そして、その後の展開。
今なら論争を醸しそうな自白のさせ方は面喰らったけど、自尊心を利用した巧みな追い込みというのも興味深かった。

妻を殺された夫が最後に見せる、絶えることのない復讐の炎は観る者を驚愕させる。「そう来たか!」と思わせる結末に唖然としたと同時に、切なさも感じた次第である。
ミサホ

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