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瞳の奥の秘密のodyssのレビュー・感想・評価

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
4.0
【an old fashioned movie】

30~40年くらい前の映画を見ているような気分でした。実際、時代設定から言うとそのくらい昔なんだけど。

老いて退職した男が仕事がらみで関わった過去の出来事を小説にしようとするという設定だから、時間が現在と過去の二重になっている分やや複雑に見えますけど、実際にはかなり古いタイプの作品でしょうね。

特に駅での別れのシーンだとか、男女の関係だとかが、1世代前の映画だという印象を強めています。男女の関係は、男が高卒、女は博士号取得の才媛で上司になるというところが現代風かも知れないど、でもその点があまり前面に出ていません。学歴の違いというのは、昔の身分制社会だったら身分違いみたいなもので、もう少し色々な葛藤がありそうなのに、そういうところはパスしている。女上司も結婚して家族がいるわけだけど、その辺もパス。映画的大ざっぱさか。牧歌的ですね。

その才媛を演じる女優がもう少しキレイなら良かったんだけど、どうも私の目にはあまり魅力的に見えない。アルゼンチンには美人女優いないのかなあ。いや、殺される若妻役はキレイでしたけど。主役の男優の方は恰幅も良くてそれなりですけどね。

死刑の問題も含まれるところは、やや現代的かも。死刑が残酷か、終身刑が残酷か、一律には言えないですね。ただ、作中、終身刑のはずの男が簡単に釈放されてしまうところはよく分からなかった。アルゼンチンの政情との関係なんですかね。もっとも、ヨーロッパだと終身刑は実際には終身ではなく、途中で釈放される場合が多いと聞いたことはありますが。
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