首塔えい

瞳の奥の秘密の首塔えいのネタバレレビュー・内容・結末

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アルゼンチン産のミステリー作品。

最初の容疑者決めるトコとか雑すぎね?
とは思うものの、演出が見事で、
自然と登場人物の感情に寄り添える映像だった。

せっかく逮捕して証拠も掴んだ相手があんなふうになるの、
当時のアルゼンチンってああだったん…?と
暗い気持ちになったり。
その時の虚しさを抱えたままだった主人公が、
そんな過去と再び向き合うという展開は面白かった。

これアルゼンチンの歴史も
前提知識として無いとアカンやつなんかな…
「汚い戦争」でググったら色々ひどい。
そこから25年後という時系列にも
ちゃんと意味があるんやなあ。
落ち着いて戻って来るには情勢的にも
それだけの時間が必要だったのだろう。たぶん。

あまり表立って書かれてないけど、
強姦殺人を発端とした話で
視覚的にキツイ場面も出てくるので注意。
まあだからこそ余計あのラストが効いてくるんだが…

取調室のシーンの表立ってキレずに
相手のプライドを刺激する事で本音を引き出す
女上司のテクは上手いなあ~ってなった。
(一瞬だがボロンにモザイクあり)

個人的に死刑制度に対しては
「楽に死なせるより生きて苦しませるべき」って
考えてんだけど、それに対する1つの解答が
描かれていたので驚いた。
「どうせ終身刑」だからこそ、アレが
あの人なりの私刑だったのかも。
(途中で逃げられたりせんかったんかな?)

サスペンスだけでなく、
ロマンス要素もあるおかげで後味重くなりすぎず
ちょっとした救いを残してくれていた気がする。
「a」がどうしても打てないタイプライターが
そこに掛かって来るか…!ってトコは感動した。
同僚の酔っ払いネタとか何度も引っ張りすぎだし
もうちょい削れないかなと思う部分はあるが。

それにしてもサッカースタジアムでの長回しは圧巻。
空撮で選手とグラウンドに近づき、通り過ぎて
そのまま客席までズームしていき、
そのあとの逃走劇までカメラが走って付いてくる。
一体どうやって撮ったんだ…?

タイトルにもある通り「目」が全てを物語る、
演出と役者陣が素晴らしかった。
ちょっとやり過ぎなぐらい「目」から伝わるものがあった。

主演のリカルド・ダリンは
日本で言う所の役所広司さんみたいな
雰囲気があるなあ。良い役者だ。

ツッコミどころは多いが、無理やり納得させる部分も含め
映画のマジックを堪能出来る逸品と言える。
首塔えい

首塔えい