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ブラック・デーモン 絶体絶命のsymaxのレビュー・感想・評価

3.3
"トラロック"…それはアステカ文明における水、雨、雷の神…

大手石油会社に務めるポールは、かつて自分が手掛け、妻との出会いのきっかけとなった海底油田の視察にバカンスを兼ね家族でメキシコを訪れる…

だが…妻と出会った思い出の街は寂れ、海底油田も壊滅的な状態に…

今にも倒壊しそうな油田に辿り着いたポールの目の前には、怯え切った様子の作業員が二人…そしてその二人の不安そうな視線のその先には、街に残って待っているはずの妻と子供が乗る船が…更にその先には…海中から飛び出した巨大な背びれ…それは"トラロック"の化身…街の住民からは"黒き悪魔"と呼ばれ恐れられていた巨大なサメが…

"爆発か…喰われるか…どっちデスか…"

と煽りに煽った予告編だけを観れば、どんだけイロモノなの?って想像しますよね…私もそう思いましたが、実にマジメに作られた"サメ映画"となっていました。

今にも倒壊しそうな油田が舞台で、孤立無援、絶対絶命…更には爆弾が仕掛けられているというおまけ付きのシチュエーションの中、とり残された主人公家族の絆…そして本作でのテーマである"環境問題"をてんこ盛りに詰め込んだストーリー展開にお腹いっぱいになりつつ…

真の主役である巨大サメは、愚かな人類へ鉄槌を喰らわす神の化身であるので、ややオカルト的な存在と昇華されているのが最大の特長でしょうか?

海洋パニックというより、ホラー色が色濃く、地味ながら案外楽しめる一本となっております。

ただ、てんこ盛りな設定故に、全体的な印象が薄く中途半端で、いっそのことバリバリのオカルト映画にした方が良かったんじゃないかと思ってしまいました…ハラハラ感も薄かったですし…アイディアが面白いだけに、"惜しいなぁ"との思いを強く抱いたのでした…
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