KOTAYOSHIDA

オクス駅お化けのKOTAYOSHIDAのレビュー・感想・評価

オクス駅お化け(2022年製作の映画)
3.3
普通に(普通に?)この世の嫌な所が詰まった嫌な映画だった。日韓合作とのことで最終的には人が一番怖い、現実世界でのヒトコワで締める辺りは韓国映画らしいといったところ。

ホラーとしてはね、怖くないです。怖くないというかかなりクラシック、かなりストレート。脚本に高橋洋氏が参加しているので、もろ『リング』というか、当時のJホラーを韓国を舞台にして作りましたという仕上がり。監督のフィルモグラフィーを観てもわかる通り、ホラーを撮ってきた監督ではないので、ある意味で素直なホラー演出が多く、そういう意味では目が肥えたホラーファンには食い足りないかもなと。ジャンプスケアばっかだからね。あと幽霊の造形も古臭いし。ただそういう意味では"あの頃"のJホラーというか、90年代のホラー映画っぽさを感じるような画作りでもありました。高橋洋氏いわく、実際に日本であった事件が下敷きにあるとのことで、詳細は下記の高橋洋氏のインタビューにて。戦後とは言え本当に酷い事件があったもんですね...。

https://news.infoseek.co.jp/article/gadget_3447082/

あとはやはり人間が背負っている「業」の怖さ。人が人である限り一生解決できない「業」の怖さがこの映画では描かれていて、クライマックスで明らかになる本作の怪異の原因、それも勿論おぞましく怖いのですが、人が人を貶める、人が人の命を軽視するような行為は現代でも形を変えて行われていて、それはパワハラであったり、ネットでの誹謗中傷であったり、恨みの原因、呪いの原因になってしまうような行為は今でも後を絶ちませんし、自分がそれを作ってしまう、加害者になってしまう可能性すらある時代。

そういう意味で何も解決していない、人が人である限り、人が業を背負い続ける限り、恨みも呪いも生まれ続ける、という怖さを改めて体感し、震え上がった次第です。

あと高橋洋氏もインタビューで言ってる通り、「駅」を舞台にしたホラー映画って意外と無いかもね。日本でも地下鉄が舞台の都市伝説ってたくさんあるので、意外とここホラー映画の金山なのでは?
KOTAYOSHIDA

KOTAYOSHIDA