こなつ

ブルックリンでオペラをのこなつのレビュー・感想・評価

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)
3.8
劇作家のアーサー・ミラーの娘で、オスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスの妻であるレベッカ・ミラー監督の最新作。大好きなアン・ハサウェイ主演に、劇場で鑑賞。

ニューヨークのブルックリンを舞台に繰り広げられる大人のロマンティック・コメディ。

精神科医の妻パトリシア(アン・ハサウェイ)は、掃除ばかりしている極度な潔癖症。夫のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)は、現代オペラの作曲家だが5年前からスランプに陥り、担当医になったパトリシアと結婚したものの相変わらず曲が作れない。そんなある日、スティーブンは犬の散歩の途中で寄ったバーで、カトリーナ(マリサ・トメイ)という女性客と出会う。タグボートの船長だという個性的なカトリーナとの出会いが、夫婦の人生をも劇的に変えていくことになる。

ピーター・ディンクレイジは小人症という体格を生かした役柄を演じることが多いが、本作ではスランプに苦しむオペラの作曲家として、家庭内では悩める夫として、違和感なく魅力的に作品の中に溶け込んでいて、あらためて俳優としての技量を知った。「プラダを着た悪魔」「レ・ミゼラブル」「マイ・インターン」と私達を魅了続けたアン・ハサウェイも既に40代。2人の子供のママなんて思えない美しさとスタイルの良さに、ただただウットリ。

妻パトリシアの連れ子ジュリアンが恋人のテレサの継父に告発されそうになる。たたき上げの法廷速記者という継父の固執した態度が何とも腹立たしい。まるで何かに取り憑かれて病んでいるみたいに見える。心が満たされず迷える大人達の中で、若いカップルだけは幸せを掴もうと前に進んでいく。航行するタグボートの中での結婚式はちょっと感動的だった。

原題「She Came To Me」(彼女が降ってきた)人生諦めなければ奇跡が起こる。奇妙で魅力的なキャラクター達にほっこりするコメディだけど、面白おかしいオペラシーンもしっかり堪能出来て楽しめた。アン・ハサウェイが劇中でシスターになってしまうのはあまりに突飛だったが、彼女自身修道女に憧れていた子供時代があったらしいから、本作で夢を叶えたというところなのだろう。
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