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マックィーンの絶対の危機(ピンチ)のLudovicoMedのレビュー・感想・評価

3.0
のちに『ブロブ宇宙からの不明物体』としてリメイクされるマックィーンZ級映画

オープニングのクセの強い主題歌に惹かれるも、ファーストカットの漆黒の黒を夜に見立てたバックの会話シーンに呆然とした。
トンデモないポンコツ映画を引いてしまったと、、、ところがこのどうしようも無い本作のDIY精神が不思議と病みつきになってくる。
ジョンカーペンター映画の様な見応えある茶番に、観る側もノリノリになっちゃう工夫が凝らされておりました。

正確には『ダークスター』と同じ香りなチープさで愛着が湧くタイプであり、伝説のビーチボールモンスターを彷彿させるアメーバ生命体はまるで美味しそうなゼリー。
通称ブロブは人間では全く歯が立たない特性から魅力を引き立て、中々姿を現さない幻のモンスター性から警察を混乱させる。
『ダークスター』同様予算がない中で、如何にドラマを盛り上げるか、肝になってくるのだが、マックィーンは愉快な仲間達と『アメリカングラフィティ』ごっこを繰り広げます。

確かにマヌケなチキンレースで遊び、尺を埋めるといったグダグダ感や能天気な会話がいちいち緊張をぶった切るが『アメリカングラフィティ』的コミカルなやりとりは割と観てて楽しい。意地でも動物を殺そうとしない映画クリシェに忠実なブロブにも笑える。
また、『アメリカングラフィティ』に垣間見る眩しい青春の鬱憤が、ブロブ(若者の発言)を信じようとしない大人との軋轢としてぎこちなく機能しています。

そんな能天気さを横目にいつ、どこで出会すかわからないヒリヒリ感が作品を盛り上げるのだ。

そして『ティングラー』の山場の様に映画館にブロブが忍び込むシチュエーションはワクワクしてくる。
このZ級映画は中々な掘り出し物であった。

そういえば、掘り出し物映画の名に相応しい信じられないものを目撃できたんです。
映画の終わり方には古今東西様々なカタルシスがある。
個人的に『早春/DEEP END』の起承転結の結が現れた瞬間にスパンと終わる幕引きは生涯ベストクラスな終わり方だったりするのですが、この映画は"END ?"を提示して終わらせるのだ。
しょうもないかも知れませんが"?"終わりは映画史激レアで近年ではロブゾンビ『マーダーライドショー』くらいしか記憶にない。
しかも50年後(今)の地球温暖化の危機をサラッと示唆するこの"?"を拝めて猛烈に嬉しかったです。
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