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マックィーンの絶対の危機(ピンチ)のkitoのレビュー・感想・評価

3.2
昔観た懐かしさも相まって楽しめた。

マックイーン初主演作で当時28歳、本作の2年後「荒野の七人」でブレイクする前夜。アラサーなのに田舎町のティーンエイジャー役をあてがわれ、さすがに多少違和感があるのはご愛嬌か。

しかし、後にアクションスターとして大成する彼独特の所作、身軽さなどの雰囲気がちゃんと出ており、観ていて楽しい。”B級オブB級”なのはわかっていて、もっぱらマックイーンを観る映画。

スライム状の食人宇宙生物による街の危機をマックイーンが恋人と友人たちの協力を得て救おうと奮闘するお話。今ならエイリアンの凶暴っぷりがCGでリアルに描かれるところだろうけれど、本作はなにせ1958年の映画、しかも低予算だろうしで特撮シーンはほんのわずかしかない。1988年にリメイクされているが、最新CGてんこ盛りで再々リメイクされないかなぁ。

昔、緑のスライムで遊んだなあ、手に臭いが残ってあまり好きじゃなかったけどーーそんなことを思い出すと、本作の赤いスライムも懐かしい。

本作は若者たちと親や警察といった大人との世代間ギャップを描く青春ドラマパートがほとんど。若者は甘ったれているという偏見から憤る軍隊上がりの警官までいて、若者に理解のある良識派シェリフと意見がぶつかる、なんていうのもお約束。もはや、ひねたジュブナイルな雰囲気と展開。

ラスト「THE END」のテロップがウネウネと伸び「?」になるユーモアショットに「ああ、そうだ、こんなんだったなぁ!」と声が出た。

そんな作風がなんとも懐かしく感じられる。やはり、70年代にTVオンエアで観た記憶が残っているからだろうーーそして1980年、マックイーン50歳での早逝の報に驚いた日も思い出し、しばしノスタルジーに浸ってしまった。
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