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ハード・プレイのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

ハード・プレイ(2023年製作の映画)
3.5
ウディ・ハレルソン主演の異色の人気スポーツコメディ映画「ハード・プレイ(1992)」が、ラップ界のスーパースター、ジャック・ハーロウの主演で正統派青春映画になって帰ってきた!オリジナルが好きな方には正直あまりおススメしません。むしろ、オリジナルでハマらなかった人は本作なら楽しめるかもしれませんよ😊オリジナルの良いところが失われ、そのかわり悪いところもしっかり修正されたといったところ。個人的にはこのリメイクの方が好きでした。ディズニー+での配信です(US組はhuluで)。

オリジナルではまぁ全く共感するところはないギャンブル性でアホな男二人が人種の壁を越えてわちゃわちゃ絆を深めていくというゆる~い空気感が魅力でしたが、本作では「夢を追うこと・支えること」をテーマにしっかりとした感動のドラマ作品になっています。まず一番の改善点は、二人の人物設定が深堀りされて圧倒的な共感性が生まれていること!

主人公のカマル(シンカ・ウォールズ)は、過保護で目立ちたがりの父(ウィリアムズ姉妹の父を彷彿とさせる)のもと神童として育てられるも自らの心の弱さでキャリアを棒に振り現在はバスケとは距離を置く配達のお兄さん。膝の怪我でまともに動けないのに精神だけはタフでプロになる夢を諦めず奔走するトレーナーのイマドキ青年ジェレミー(ジャック・ハーロウ)と、ひょんなことから賭けバスケで組むことになり...

主役の二人それぞれ丁寧に描かれセリフも自然で、グッと感情移入することができるしストーリーも設定とマッチし説得力がありかつキレイでとてもよかった一方、感動というかしんみり度が強めでオリジナルのカラッとした魅力はなくなっています。ジョークはむしろ本作の方がテンポもよく中身もキレがあるのに、映画全体としてみた時にとてもコメディとは言い難いのでそういうつもりで観た方がよき。

あと、オリジナルの方は作品自体が嫌いでも、ビリーの彼女だけは愛さずにはいられない魅力的なキャラでしたが、本作のジェレミーの彼女はめちゃ影が薄いのは残念。その代わり、カマルの奥さんが良妻としてフォーカスされているものの、やっぱりビリー彼女には全然かなわない... 主演二人もそれぞれとてもよかったけれど、二人一緒になったときの相性がやはりオリジナルと比較するとそんなに。

人種の問題については、オリジナルではやや表面的で個人間の感情の問題が主でしたが、本リメイクではカマルの解雇の件などやはり現代の課題である社会構造的な格差を主体に深く掘り下げています。ただ、設定上仕方がないとはいえ、なんだかんだストーリー展開は白人が黒人を助けるという構造になっているので、「グリーンブック」と同じ批判が起きそうと思いましたが、批評的には映画主演デビューの歌手ジャック・ハーロウを無理にカッコよくスターに仕立てているのがあざといという批判がちらほら。まぁ普通にかっこよかったけど。

リメイクというのを意識し過ぎたのかSNS用語を中心に「現代」を強調する要素をやたらと連発していくのも不評だった模様。「お前と一緒で髪型が残念な白人歌手。」「エド・シーラン?...」は笑った🤣彼、ホント映画での出現率高いですよね。
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