ぶみ

セフレの品格(プライド) 初恋のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
好きには、ならない。

湊よりこによる同名レディースコミックを、城定秀夫監督、脚本、行平あい佳、青柳翔主演により映像化したドラマ。
派遣社員として働くシングルマザーの主人公が、高校の同窓会で初恋相手と出会ったことから、セフレとして付き合うこととなる姿を描く。
原作漫画は未読。
主人公となる、36歳バツ2のシングルマザー・森村抄子を行平、初恋相手の産婦人科医・北田一樹を青柳が演じているほか、片山萌美、新納慎也、川瀬陽太、こころ、伊藤克信、寺島まゆみ、田中美奈子等が登場。
物語は、前半までは同窓会で出会った抄子と一樹が、一樹からの提案によりセフレとなっていく姿が描かれるのだが、ここまででも二人が体を重ねるシーンが数えきれないほどあり、ピンク映画からキャリアをスタートさせた城定監督の真骨頂とも言えるもの。
しかし、本作品の神髄は、割り切った関係を求めるようになった一樹の過去が明かされる後半であり、これがまた、どう表現したらよいかわからない、何ともやりきれないものとなっており、物語のサスペンス色を高めている。
何より、抄子を演じた行平が、ルックスといい、話し方といい、全てにおいて、良くも悪くも普通であるため、日常の中に潜む淫靡な雰囲気をより一層醸し出しており、まさに本作品の主人公にうってつけ。
以前観た、同監督の『ビリーバーズ』が、カルト宗教をベースとした閉ざされた非日常空間での出来事であったのに対し、本作品では、前述のような日常生活を描いているのも対照的であり、監督の懐の広さを感じさせるところ。
また、観客が私のようなおじさんばかりかと思いきや、レディースコミックが原作のせいか、半数ぐらいが女性だったのは、驚きの一つ。
単なるピンク映画の域を脱しないかと思いきや、濃厚なヒューマンドラマに終始目が離せなくなるとともに、私が観たシネコンは、基本的にチケット窓口対面販売であるため、某新作スパイ映画を観る人々の行列のなか、窓口で「セフレの品格」と言う気恥ずかしさは、以前書いた「じゅじゅじゅ」や「ですえぬえす」の足元にも及ばず、なおかつ、映画が始まり、タイトルが浮かび上がった時に、実は「品格」の読みが「ひんかく」ではなく「プライド」だったことに気づき、二重の恥ずかしさが込み上げてきた一作。

それ、医者が言うこと?
ぶみ

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