ハル

セフレの品格(プライド) 決意のハルのレビュー・感想・評価

3.8
不倫ではなくセフレものです。
ジャンル“セフレ”が成立するのは城定秀夫監督ならでは。
この作品は“初恋編”と“決意編”の2部構成。
仕事のスケジュールが厳しく、初恋編に参加できなかったため、2部作の後編だけ見るというアクロバットな挑戦。
にしては、結構楽しめてしまった。

結婚はしない、セフレがほしい一樹君と価値観が同じバツ2シングルマザーの抄子。
この役を務めた行平あい佳さんは特別美人ってわけでもないが、不思議なエロさがある。
作中では30代後半?の扱い。
ただ、実際はもっと若い方みたい。
騎乗位で腰を痛めるスタートが斬新だ(騎乗位って女性側は大変だよね…お察しします)

そこからは新キャラのサキが登場。
17にして、中絶3回している強烈なこの娘の登場で紆余曲折。
二人の関係性も壊れていく。
中絶を行うシーンはなかなかに応えた…相手の人生を背負う覚悟がないなら絶対にゴムはつけましょう。
ちなみに難役のサキを演じた高石あかりさんの芝居が本当に素晴らしく、ガツンと世界観に引き込まれてしまった。

そして、抄子が一樹に振られたあと、職場の清掃バイトをしている若いボクサーと知り合うんだけど…
抄子さんは恋愛を意識していないときのほうが100倍魅力的に映るんだよね。
相手を“男”と意識しだすと!甘ったるくなり、SEXモードに突入してしまう。
普通にしてる方が全然可愛いのにもったいない。
ふざけたり、楽しく会話できる方が関係性も上手くいくはず。
大人になってからも「遊びに行こー!飯食いにいかない?」を気軽に誘えない女性と付き合うのは無理な自分が変わってる?

終わり方もスッキリしていて、背徳感たっぷりの締め方。
妙に納得させられた。
突っ走った人たちの行き着く先はあそこしかない(笑)
めんどくさいのは嫌、気持ち良いのが一番!

得意の“エロ”を取り入れつつも、濃密な人情劇スタイルで描ききった本作。
登場人物それぞれにしっかりとした味付けが施されていて、飽きずに最後まで見られた。
うん、流石の城定秀夫だ。
男女の関係性に答えなんてなく、常に暗中模索、臨機応変こそリアル。

俯瞰して見てみると、既婚者同士、SNSやアプリで全世界に向けて不倫してます宣言してる人らに比べたら、バツ2とはいえ未婚同士SEXで繋がってる彼らのほうがまだ健全かなぁと思う次第。
ただ、SEXだけの繋がりは絶対どこかで片方のタガが外れ、心を求め始めるから上手く行かなくなるんじゃないのかな?とも感じてしまう(経験者は語る、なんてね)
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