ぶみ

セフレの品格(プライド) 決意のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
きっと不幸ではない。

湊よりこによる同名レディースコミックを、城定秀夫監督、脚本、行平あい佳、青柳翔主演により映像化したドラマで、『初恋』に次ぐ二部作の後編。
派遣社員として働くシングルマザーの主人公が、初恋相手とセフレとして付き合うこととなったその後の姿を描く。
前編は鑑賞済み。
主人公となる、バツ2のシングルマザー・森村抄子を行平、初恋相手の産婦人科医・北田一樹を青柳が引き続き演じているほか、片山萌美、新納慎也も同じ設定で登場。
今回は、それに加え、ある事情から一樹が面倒を見ることとなった17歳の高校生・山田咲を髙石あかり、抄子に想いを寄せる23歳のボクサー・市原猛を石橋侑大が演じている。
物語は、セフレとして関係を続けてきた抄子と一樹の間に、咲と猛という若い二人が登場し、微妙な関係になっていく様が描かれるのだが、前編が、お互いの体を求めあう抄子と一樹が中心となっていたことから、城定監督の本領発揮と言わんばかりに濃厚なシーンが多かったのだが、本作品では、控えめとなっている反面、若さを目の前にした二人の心情の変化を核としたドラマに重きが置かれているため、かなり見やすい内容となっている。
とりわけ、今回の裏の主役とも言える髙石については、今まで阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ』シリーズしか観たことがなかったことから、コミカルなイメージな彼女が、どんな演技を見せてくれるのか楽しみにしていたところ、なんのなんの、喜怒哀楽を感情豊かに表現し、年齢差のある抄子と一樹の間で揺れ動く咲を見事に演じ切っていたのは、見どころの一つであるとともに、俳優・石橋保を父に持ち、実際にボクシングのプロライセンスを持つ石橋侑大のボクシングのシーンも見逃せない。
前編同様、私が観たシネコンは、基本的にチケット窓口対面販売であり、前編の時は、「セフレのプライド」と伝えるべきところを、「セフレのひんかく」と言ってしまったため、夏休みの朝一上映で、某アニメ作品等を目当てに来ているファミリーが長蛇の列をなす中、今回は間違えないぞと、窓口でしっかり「セフレのプライド」と伝えたところ、バイトらしき男性の窓口担当に、「セフレのひんかく、けついですね!」と元気な声で言われてしまったため、内心「ひんかく、じゃなく、プライドだ」とツッコミながらも、気恥ずかしい思いをして入場したことが忘れられなくなった一作。

この子はもっと痛かった。
ぶみ

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