atsushi

恋人のいる時間のatsushiのレビュー・感想・評価

恋人のいる時間(1964年製作の映画)
3.6
主体と客体、黒と白、過去と現在、情夫と夫、相反する二つの概念が拮抗し、共存するゴダールの世界。劇中のセリフを借りればパラドックスを楽しんでいる。しかし、ゴダール自身はどうもその偏愛を白、現在、情夫に向けているように見えます。

会話というか、1人が事柄についての持論を延々と喋っていく、カメラは聞き手に切り替えすこともしないインタビュー形式の後半。というかこの映画に聞き手なんて存在しない、登場人物たちは我々観客に向かっているとしか思えません。それがゴダールらしいというか、間接的かつ直接的にメッセージを届けてくる図々しさがまた愛おしい。

2022/10/14 1回目
【2022年326本目】
atsushi

atsushi