ぶみ

SISU/シス 不死身の男のぶみのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.0
ツルハシ1本でナチスを討つ。

ヤルマリ・ヘランダー監督、脚本、ヨルマ・トンミラ主演によるフィンランド製作のアクション。
ナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランドで、掘り当てた金塊を隠し持ち荒野を旅する老兵が、ナチスの戦車隊に遭遇する姿を描く。
主人公となる老兵アアタミ・コルピをトンミラ、ナチスドイツ軍のブルーノ中尉をアクセル・ヘニー、同じくドイツ軍の兵士ヴォルフをジャック・ドゥーラン、捕虜の女性アイノをミモサ・ヴィッラモが演じているほか、ドイツ軍の兵士シュルツを演じたオンニ・トンミラが、主人公アアタミを演じたヨルマの息子であるのも見逃せないポイント。
物語は、1944年のフィンランドを舞台とし、愛犬ウッコと荒野を旅するアアタミがナチスの戦車隊と遭遇、金塊と命を狙われるのだが、アアタミは、一人で300人のソビエト兵を殺した伝説の兵士であったという、ナメてた相手が実は〇〇だった系作品の王道的展開となっており、冒頭、地雷を投げ返すシーンを皮切りに反攻に転じていく様子は、派手な人体損壊があるが、不謹慎を承知で表現するならば爽快感抜群。
以降、舞台がフィンランドの荒野であるため、そんなに絵面に変化がないかと思いきや、地上に、水の中、そして空中へとテンポ良く展開していくとともに、窮地に追い詰められたアアタミが、自身の経験とその場その場にある武器を駆使し、いかに難局を乗り切っていくかを想像するのが楽しく、アクション全振りでありながら、終始飽きることない仕上がりとなっている。
冒頭に書いたキャッチコピーにもあるツルハシが、思いのほか活躍をしなかったのが残念ポイントではあるのだが、難点はそこぐらいだけと言っても過言ではなく、捕虜となっている女性陣もしっかり物語に絡んでくるし、サブタイトルからもわかるように、アアタミの不死身っぷりには、もう笑うしかない。
前述のように、地雷で体が吹っ飛ぶは、ツルハシが頭を貫通するはとバイオレンス度高めのため、苦手な人は要注意だが、アアタミの反撃ぶりは爽快感しかなく、未だかつて、これほど台詞の無い主人公は初めてであるとともに、私が観たシネコンでは、自慢のサブウーハーと震動シートによる+200円の「重震シアター」のみでしか上映がないという、何ともわかっている設定に、思わずニヤついてしまった快作。

あの野郎だけは、怒らせるな。
ぶみ

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