ハル

SISU/シス 不死身の男のハルのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.1
R15指定、かつ描写がキツそうということもあり、悩んでいた本作。
そんな中、映画好きの素敵女子が目をキラキラさせながらオススメしてくれたので、鑑賞してみたら大当たり!
『ジョン・ウィック』や『イコライザー』或いは『Mr.ノーバディ』等と同系統の匂い、ストーリー云々ではなく戦闘シーンに全振りしてるのが◎

共通するのは“バックボーンを深く掘り下げない”事。
要はわかりやすいんだ。
例えば今作の“一人殺戮部隊”のおじいちゃんは家族を亡くした元フィンランドの最強戦士で不死身という情報のみ(不死身と言ってもその秘密は「絶対に諦めない!」という意思だけで、機銃に乱射されても首吊りされても死なない…)
『ジョン・ウィック』はシリーズが続く事で後々に判明してきたけれど、『Mr.ノーバディ』も政府御用達の殺し屋としか触れられていないし、『イコライザー』のロバート・マッコールも元CIAの凄腕程度のもの。
こうした“語りすぎない美学”は作品自体の面白さを際立たせる要素になっていて、「圧倒的な強さをただ体感しろ!」という強烈なメッセージ性を感じさせる。
鑑賞者の想像力を刺激しつつ、その予想の遥か上を描いてれるからこそ、ボルテージも上がるってもんだ。

金を掘りながら荒野をワンコと旅するおじいちゃん。
絡まれたナチス軍によって金を奪われ、相手を皆殺しにする。
本作の内容は…以上。
チャプター毎に区切られているため、いくつかサブタイトルを刻むが『皆殺し』というタイトルがあるのはそのまんますぎて笑った。
そして、憤怒の化身になった不死身の戦士はナチス軍を木っ端微塵にしていく。
撃ち、刺し、殴り、蹴る。
動物と金をこよなく愛すおじいちゃんに喧嘩を売ったらおしまいなんだ。
劇中のセリフで女奴隷に兵士が言われる言葉「あんたはもう死んでいる」
もはや“北斗の拳”、即死確定モード突入。
加えて、おじいちゃんの戦闘シーン以外の見どころとして、虐げられていた集団の逆襲シーンもあるが、そこはまぁ見てのお楽しみ。

ちなみに彼は「う〜〜〜〜〜〜」と怒りの唸り声を上げるが、一切台詞はなし。
かと思いきや最後に一言だけ言葉を発する。
思わず「え、本当にそれが理由で金を掘っていたの?」となるくらい実に人間らしい理由が告げられ、溜飲を下げて終了。
一見、普通の人でもその真の姿はわからない…触らぬ神に祟りなしという言葉が頭の中でリフレイン中。

観賞後に思ったのは、防弾スーツフル装備ジョン・ウィックVS怒れるフィンランドの最強おじいちゃんVS理不尽暴力魔王Mr.ノーバディVS秒殺エレガントおじさんロバート・マッコール様だと誰が一番強いのだろうか?ということ。
いつかコラボを期待したいね。

劇場鑑賞の際は残虐過ぎる映画を避けていたけど、これは本当に行って良かった。
ボクのように耐性弱めでも楽しめる良い塩梅のライン設定なので、前述した作品群のファンだったり、激しいヤツを劇場チャレンジしたい方にはオススメです。
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