夜行列車に乗ったカリート

SISU/シス 不死身の男の夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
2.8
フィンランド発。不屈の男の快進撃を描くアクションエンタメ作品。

フィンランドで金塊を堀当てた主人公コルピは、周囲を焼きながら撤退するナチス軍と遭遇してしまう。金塊を狙われ、苛烈な攻撃を受けるが果たしてどうなるか…という話。

冒頭のシーン、フィンランドの大地がとにかく美しく壮大で、ロケーションとしては最高の環境を選定したと思います。
晩秋の撮影だったらしく、強風と寒さに難儀したようですが、水中シーンも綺麗に取れていて上手いなと感じます。
アクションシーンを含めて、映像としては大作映画にも引けを取らない内容になっていました。

しかし中身はと言うと、少し単調で、非現実感が気になる…という印象があります。
「強い男の主人公」というのは好きな部類ですが、主人公の目的も単に金なので、全体としてはその快進撃をただただ凄いと思いながら見続ける…という内容になっています。
凄さを誇張するあまり、どうあっても死んでる状況からの生還など、やり過ぎな場面も見られます。

あとナチス軍人が映画に出てくると、ほぼ間違いなく悪人として登場するんですが、本作もそれに漏れない展開になっており、その点も単調さを助長しています。歴史的に悪人として描かなければならないのは分かるんですが、アイヒマンだって実際はわりと凡庸な男だったというし、この辺り映画業界はもうちょい踏み込んでも良いと思いますけどね。

SISU=フィンランド魂・折れない強靭な心、というのは知らなかったので、それを題材にしたのは良かったです。
もう少し別の要素も入れて脚本を練っていたら、面白い作品になっていたと思います。もったいない。