深獣九

SISU/シス 不死身の男の深獣九のレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.0
復讐、血、爆裂、アクション、女戦士、勧善懲悪、強いジジイ、すべてが詰まった痛快劇!


金を奪われたジジイが、相手を皆殺しにして奪い返すというだけの話。「実は手を出してはいけない相手」というよくあるストーリーなんだけど、とにかく行き過ぎやり過ぎで、何度も笑っちゃった。
殺し方も死に方も容赦ない。地雷投げて相手をふっとばすとか見たことある?

相手だけじゃなくて自分もボロボロになる。殴られ撃たれてめちゃめちゃ深手を負う。その傷口を針金で縫って(糸なんかないよ!)、ガソリンぶっかけて消毒する(アルコールだよ!)。

縛り首から生還する?飛んでる飛行機に乗り込む?おかしいだろw
『ダイ・ハード』と『ミッション・インポッシブル』を足して10倍にしたらこれになるかも。

ナチスに捕らえられた女たちも、覚悟があってかっけー。フィンランドの女ってこんな男前なの?

「死なないんじゃない、死のうとしないだけ」
主人公アアタミが何者か尋ねられた女の言葉。ジャンプ漫画かよw

アアタミ、最後の最後まで一言も喋らないのも激シブ。この辺は脚本と演出の勝利。

アアタミ役のヨルマ・トンミラは最高だけど、敵のブルーノ・ヘルドルフ中尉役のアクセル・ヘニーの芝居がすごい。舞台が戦争の最前線だからあまり表情豊かにできない中、目や首を傾ける仕草で心の内を表現していて、逆にそれがすごい。
アアタミとのラストタイマンでは、恐怖に負けそうな自分を奮い立たせてファイティングポーズを取るのだけど、その表情がたまらない。他の作品も観てみたい。

第六章のタイトルが「皆殺し」で爆笑(観ればわかる)。これだけで大盛り飯三杯いける。

ラストバトルからのエンディングもカッコ良すぎるし、フィンランドの大自然は美しいし(血の海だけど)、いろんな楽しさがてんこ盛りの痛快活劇。映画っていくらでも進化できるんだなぁ。好きなら必見。
深獣九

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