まーしー

ジョニーのまーしーのレビュー・感想・評価

ジョニー(2022年製作の映画)
3.5
はじめに問題です。
タイトルの「ジョニー」とは、次のうち、どちらを指すでしょう?

①ホスピスの院長として、死にゆく者に寄り添う心優しいヤン神父
②趣味は「酒と女と賭け事」の元犯罪者パトリク

答えはコメント欄にネタバレ表示で。


さて、ここから本題。
足が不自由で病弱、末期がんのヤン神父は、周囲の反対を押し切り、ホスピスを開院。
そのホスピスに働きに来た元犯罪者のパトリク。彼は強盗の罪に問われ、執行猶予の身。
受刑期間の短縮といった、よこしまな気持ちで働くパトリクだったが、ヤン神父と接するうちに、彼の心境に変化が生まれる——。

実話を元にした本作。想像のつくストーリーながらも、ヤン神父の姿に感動した。
死にゆく者へ寄り添い続ける彼の姿は、キリスト教が説く隣人愛だけでは片づけられない。より深い慈悲の心を感じる。
死を前にした者に対して、何か特別なことをするわけではない。ただ側にいるだけ。
そのようにして安らかに眠れる場所を生み出すことは、簡単そうで実は難しい。

余命を宣告されたヤン神父は、自身も死と向き合う存在。
だからこそ、終末期を迎えた人たちの気持ちが解るのかも知れない。
その気持ちをパトリクに説くヤン神父は、彼を「元犯罪者」という偏見の目で見なかったのだろう。
むしろ、彼を更生させたいという愛情すら垣間見えた。

決して内向きになることなく、周囲に良い影響を与えたヤン神父。
彼の遺志が受け継がれていることを証明するラストも良かった。

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はるかさん、馴染みの薄いポーランド映画にお付き合いいただき、ありがとうございました。
あまりジョニー感のない作品でしたね(笑) 
これからもよろしくお願いします。