叡福寺清子

カンダハル 突破せよの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)
3.3
本作を視聴してなお中東和平実現を謳う連中がいるとしたら,よほどの理想主義か頭に佃煮が詰まってるか,もしくは現実を見る能力が欠如した人種でございましょう.それほどまでに,中東の政治状況は入り組んでいると認識できたのが,本作最大の収穫だと思われます.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.

阿呆なジャーナリストのせいで,スパイであることがバレちゃったCIA工作員.イラン国内に留まっていたオリバーさんは殺害されます.が,帰路途中のアフガニスタンにあったトム・ハリス(ヴォイジャー!ってツッコんだ方とは旨い酒が呑めそうです)は一難を避ける事ができましたが,政府は追跡の手を緩めませんでした.さらには,その身柄が金になると踏んだパキスタン政府軍,タリバンや傭兵部隊が追跡してきます.果たしてトムさんとその通訳モーさんは輸送機が待つカンダハルまで辿り着く事ができるのでしょうか・・・

というわけで本作を視聴すると,中東社会が政治的にいかに複雑化しているかを学習することができます.いやまじ,複雑です.同じ組織にあってもリーダーに忠誠を誓っているわけではなく,利があるから従っているだけ.リーダーが変われば方針だって変わるでしょうし,ではそもそも誰に交渉すれば永続的に良好な関係を築けるのでしょうか.アッラーももうちょっと小マシな言葉を残して言ってもらいたかったですな.普通に敵の死体を見せしめの為に吊るしておく組織なんて,ピチの字以外の何者でもないでそ.