ダイナ

マン・オン・ワイヤーのダイナのレビュー・感想・評価

マン・オン・ワイヤー(2008年製作の映画)
4.0
世界貿易センターのツインタワー間、地上高約410m の綱渡りに挑戦した男を当時の映像・関係者からのインタビュー、再現VTRにより明らかにしたドキュメンタリー。

綱渡りの映像は迫力満点。しかしそれ以上に興味深い点は「準備段階」にあります。綱渡りと聞き真っ先に想像したのは高所のスリルやそこから見える絶景でしたが、本作で丁寧に描かれているのは綱を渡るまでの環境作り。「高層タワーにワイヤーをどう渡す?」「セキュリティ厳重なタワーにどうやって侵入する?」etc、ぶっ飛んだ綱渡りの挑戦ゆえ下準備もハイレベルに困難。タワー関係者に許可得てやるわけじゃなく不法侵入するという、警備員のスケジュールを把握し抜け穴を確認したり目的階への安全ルートを確保したりというビル侵入計画。この綿密な計画を練っている段階が面白かったです。

男の名前はフィリップ。モチベを上げるために警察と泥棒が対決する映画を観ていたというエピソードが良い。ヤバい奴だけど人柄が良さそうで魅力的なのが伝わってきます。仲間集め過程、仲間達が如何にフィリップの野望に乗り気になったかをもっと掘り下げて欲しかった所はありますが、こいつに惹かれるのはなんとなく分かる。お騒がせ面で非難したい部分は滅茶苦茶あるけども、「高いとこ渡りてえ〜」っていうクレイジーで純粋な願望を追求するその姿は超クール。こんな人間が実在するとは。
ダイナ

ダイナ