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古の王子と3つの花のumisodachiのレビュー・感想・評価

古の王子と3つの花(2022年製作の映画)
4.3


ミッシェル・オスロによる最新作。3つの時代それぞれの王子たちの恋物語を描く。

ディリリが大好きだったので、楽しみにしていた。今回もそれはそれは美しいアニメーションで……うっとり。

ディリリほどメッセージ性が強いわけではないし、3つに話が分かれているのであっさりはしている。しかし、時代が異なる3つのストーリーにはちゃんと共通点がある。

・主人公は王子
・親(または親となる人間)に抑圧されている
・非暴力
・王女もしくはそれに類する身分の女性と恋に落ちる
・花が出てくる


親のプレッシャーから逃れ、自らの力で自由を勝ち取る&その手段は暴力以外というのが最も大きな共通項であり、ただの美しいおとぎ話に見えてやはりメッセージ性がちゃんと隠れているのが良い。3作品ともアニメーションのタッチが違うのも素敵。

古代エジプト・クシュ王国の王子が戦わずして上下エジプトを統一し黒人初のファラオとなるまでを描く「ファラオ」、理不尽な城主によって森に追放された中世フランスの王子が野生児となって城主に立ち向かう「美しき野生児」、18世紀オスマン・トルコ帝国で王宮を追われてバラの王女の国へと逃げ込んだ王子が、揚げ菓子を通じて王女と出会う「バラの王女と揚げ菓子の王子」の3つの物語(映画.comより)が展開されるわけだが、特に好みだったのは3つ目の「バラの王女と揚げ菓子の王子」。

1番長い作品と言うのもあるのだが、なんといってもタイルなどの背景の描き方が美しくて美しくて!!一番コメディ色が強くて、主人公が飄々としてノリが良かったのも好きだったポイント。どのエピソードも「逆境に打ち勝つ」というありきたりなストーリーだが、最終的にはフワリとしたハッピーオーラに包まれるのがたまらない。

今から次の作品が楽しみだなあ。















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