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碁盤斬りのIdeonのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.5
 柳田格之進は清廉潔白を絵に描いたような人物だが、身に覚えのない讒言で彦根藩からお役御免となる。唯一の楽しみは囲碁で、碁会所で金貸しの萬屋源兵衛と懇意となり、囲碁を通じて交友を深めたが、ある日、源兵衛の店から五十両が消える。藩での冤罪を晴らすため、仇敵の柴田兵庫を探す旅に出ようとしていた格之進は、五十両の件でもあらぬ疑いをかけられてしまう…というお話。
 落語の人情噺をもとに、主人公の復讐を描く時代劇として再構築した作品。落語では五十両の冤罪で娘のきぬが苦界に身を落とす件は出てくるが、彦根藩での柴田とのいざこざはこの脚本でのオリジナルである。2時間強の作品にするには落語のストーリーだけでは成り立たないので仕方ない措置だが、結果、格之進が鉄槌を下す相手が2人になってしまい、主人公が忙しなく走り回る印象になってしまったのが惜しいところだ。演技陣は主演の草彅剛はもちろん、源兵衛役の國村隼、きぬ役の清原果耶など、それぞれ素晴らしい仕事をしている。草彅剛は独特の歩き方など、かなり癖のある役者だと思うが、普段の物静かな風情から怒りを爆発させる静と動の演じ分けなど、彼ならではの演技が見られて面白い。
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