atsushi

碁盤斬りのatsushiのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.9
今、これを観ずして何を観ましょうか。

ひたすら実直に生きることだけが正義とは限らないこの世界。真面目な人間が馬鹿を見るこの世界。現代劇以上に、時代劇に現代を見る異色の映画体験。

白石和彌の映画を観にきたはずなのに、冒頭から温かい。優しすぎる世界。いや心配無用、落語の演目『柳田格之進』という人情噺を脚本・加藤正人が大胆に脚色し、白石和彌を炙り出す。それは、白石和彌が得意とする赤裸々な人間の醜悪さ、姑息さ、脆さ。

白石和彌と言えば、『孤狼の血』シリーズで東映の実録モノを現代に甦らせた張本人ですから、あわよくば"時代劇"の方もお願いしたくなる。

一つ付しておきたいのは、私は時代劇に明るいわけでも、元になった落語の筋を知っていたわけでもないこと。それでも十分に面白かったのです。

2024/05/18 1回目
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