ぶみ

ヴァチカンのエクソシストのぶみのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.5
悪魔は存在する。今でも。

実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父が上梓した自身の回顧録『エクソシストは語る』を、ジュリアス・エイヴァリー監督、ラッセル・クロウ主演により映像化したアメリカ、イギリス、スペイン製作のホラー。
ローマ教皇から直接悪魔祓いの依頼を受けた神父が、最強の悪魔と対峙する姿を描く。
主人公となる実在のチーフ・エクソシスト、アモルト神父をクロウ、彼の相棒となるトマース神父をダニエル・ゾヴァットが演じているほか、アレクサンドラ・エッソー、フランコ・ネロ等が登場。
物語は、主人公となるアモルト神父が、少年に憑依した悪魔と対峙する様が描かれるが、ちょいちょい宗教に関わるような専門用語が出てくるため、時折頭にはてなマークが浮かぶものの、基本的にやっていることは神父vs悪魔というシンプルな構図であるとめ、全く問題なし。
また、1987年7月のサン・セバスチャン修道院を舞台の中心とした全体的に低めな色調の映像は雰囲気抜群であり、その根底に横たわる真相も含め、公式サイトにあるような、エクソシスト版『ダ・ヴィンチ・コード』との例えも、そこそこ伊達ではない。
何より、本作品の驚きは、主人公のモデルが、カトリック教会の総本山ヴァチカンでローマ教皇に仕え、生涯で数万回の悪魔祓いを行なった実在のチーフ・エクソシストであるとともに、劇中でも語られるのだが、悪魔に憑かれた人間の98%の原因は悪魔ではないこと、つまり裏を返せば、残り2%は本当に何かに憑依されているのかもしれないということ。
そんなクロウ演じるアモルト神父が行う終盤の悪魔祓いは、高いクオリティを誇るホラー・アクション『オーヴァーロード』を撮った監督らしく、もはや、ホラーという括りでは収まらないバトルを見せてくれる。
ホラーをベースとした上で、謎解きやバトル・アクションが盛り込まれ、終始飽きさせない展開を見せてくれるとともに、少し太めのクロウが赤いスクーターを駆る後ろ姿は、某充電番組の出川哲朗かのような愛らしさを醸し出している一作。

あなたの罪は、あなたを捜し出す。
ぶみ

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