アキヒロ

ヴァチカンのエクソシストのアキヒロのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.3
ラッセル・クロウの好演が見どころだけど、
それ以外は特筆するところはないように思ってしまう。
(『エクソシスト』とどうしても比べてしまう…)

夫を亡くしたジュリアはスペインの修道院を相続するが、
その改修中にガス爆発が起こり、工事は中止に。
それから息子のヘンリーの身に悪魔が取り憑き、
エクソシストのアモルト神父を呼んで来いと叫ぶ。
ヘンリーに憑いたものは何なのか?
なぜアモルト神父を呼ぶのか?
その謎を追うホーリー・ホラー。

主人公のアモルト神父は敬虔で真面目な神父ではなく、
かつてパルチザンに属しファシストの連中を殺し、ロザリアという女性を救えなかった過去を持っていて、清廉潔白の身ではない。
彼自身とてもロジカルで合理主義者でもあり、悪魔憑きのほとんどが疾患や精神異常であると断言しており、教会内で平気で酒を飲むカジュアルさを持つ。
しかし、祓魔において実績と能力を持つエクソシストでもあるという、実力といい加減さを併せ持つキャラ設定がなかなか面白かった。

しかし、このジャンルでは過去に『エクソシスト』という名作があるので、それと比べてしまうと焼き直し感がすごい……。
取り憑かれたエイミーの四足歩行や、デミアン・カラスとメリンのツーマンセルなどオマージュ的に感じる部分も多々ある。
リーガンほどパンチの効いた取り憑かれキャラはなかなか難しい。

最後まで見ると、祓魔の理由が二人の神父の個人的な過去を乗り越える話になっていて、そのへんは現代的にアップデートされていたのかもしれないが…。
それは『エクソシスト』の悪魔が実際の超自然的存在だったのに対して、(リーガンが取り憑かれたことに何か理由があるわけではない)
本作の悪魔は「それぞれの人が過去に犯したあやまちや罪」という比喩的な意味が強い悪魔になっていたことの差かもしれない。
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