壱塚健梧

ヴァチカンのエクソシストの壱塚健梧のネタバレレビュー・内容・結末

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

噂のヴァチカンのエクソシスト略して「バチクソ」やっと見れました。

TwitterことXくんで話題になっていたあの「移動用のスクーターに対してラッセル・クロウがあまりにも恵体すぎる」シーンからワクワクはしていたんですが、開始10分ぐらいは普通のカソックのシルエットと違うな?胸板が浮き出てんな?手もグローブみてえだし座ったら脚も丸太みてえだな?とあやうくストーリーが頭に入ってこないところでした。
グラディエーターだった人だもんね、仕方ないね。

そしてこの映画、ラッセル・クロウのワガママボディ以外の前情報を知らずに見たのですが、ものすごく古典のエクソシストのお話でした。古い洋館でベッドに縛り付けられた悪魔憑きの不幸な一般人を神父さんが聖書の祝詞と祝福されたアイテムで地道に、苦戦しながら戦う、あのすごいもどかしい攻防のやつです。ネタとしてあまりにも有名なスパイダーズウォークも踏襲されているし、後半は陰謀渦巻く謎の地下空間で戦うのも「知らんけど知ってる」やつです。
メイン画像だけでもっとゴーストバスターズみたいな話か平野耕太のHELLSINGかゲームのデビルメイクライみたいな話かと思ってましたが、あくまで人間のできる範囲で対処療法していく感じの古き良き古典ですね。

じゃあ旧作たちとこの映画の一体何が違うというのか、というと、まずは特殊効果技術の圧倒的な進歩です。悪魔憑きになる子役の少年の迫真の演技(ちょっとバイオハザードやってた頃のミラ・ジョヴォヴィッチに似ている)にあまりにも自然な特殊効果とメイクがされていて本当の悪魔憑きが発生してるかのように見え、少年が暴れるたびに「うわ、うわ」と声を出しながらその場に相対している登場人物達の恐怖や嫌悪感を受け取れてしまうほどの迫力を覚えました。

あとなんといってもラッセル・クロウが頼もしすぎる。
本当にビジュアルが頼もしすぎる。
ちょっと悪魔祓い失敗してもグーのワンパンでなんとかなるんじゃねえかという絶対の安心感から、一緒に観たホラーが苦手な友人も最後まで見れていました。
彼もキャラクターとして罪深く辛い過去設定があり、そこを悪魔につけこまれてピンチになるシーンがあるのですが、仲間のスペイン人神父の助けを得て乗り越えるところの説得力があったのはラッセル・クロウの恵体のせいなところがあります。頼もしすぎる、精神がオリハルコン過ぎる、まさにヒーロー、いやグラディエーター、違う、いやでも良いんですよ。

続編既に決定してるそうで、この映画ラッセル・クロウ以外のキャストの芝居もみんなハチャメチャにうまかったのでそっちも期待しちゃいますね。
あとこのご時世リーダーシップが取れる人間が減っている、かくいう筆者も「上に立ちたくない、できれば上司から指示がほしい」人間なので、ラッセル・クロウの「任せなさい」を言ってくれる絶大な頼もしさも一つの人気なのかなあと思いましたね。

しかし魅力がたくさんある映画ではあったのですが、これがどんな層に人気があるのかはちょっと不思議です。原点の映画エクソシストを履修していない、ミームだけをふわっと知っているわたしにはそこそこ刺さりましたが、知ってる世代の人や、完全に知らない世代の人はこの作品をどう受け止めてるのか興味深いところです。
壱塚健梧

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