シネフィルmonk

歴史は女で作られるのシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

歴史は女で作られる(1956年製作の映画)
3.3
19世紀末、美貌の踊り子にしてバイエルン王ルートヴィヒ1世、音楽家のフランツ・リストを始め、欧州の著名な資産家を渡り歩き浮名を流した妖婦ローラ・モンテス(マルティーヌ・キャロル)の波乱に富んだ生涯を描く伝記もの。実在したローラが最後は身を落としてアメリカのサーカスに入り、回想していく形式で綴られる。ジャック・ドゥミはオフュルスを敬愛しており、『ローラ』のモデル像になったともされ、映画の冒頭部で「オフュルスに捧ぐ」のオマージュも捧げられてます。

オフュルスの作品では初のカラー版シネマスコープで大掛かりなサーカスのセットなど巨額な制作費が投じられたが、監督の意図を無視してフィルムが改変(3種類のフィルムが存在する)されたり、興行的に失敗。以降“呪われた傑作"とも言われているそうです。確かにサーカスの狂言回し(ピーター・ユスティノフ)が登場して回想と現実がコロコロ入れ替わるので、ちょっと筋立てがつかみにくい作品ではありましたが、絢爛豪華なセットや衣装、カメラワーク、シネマスコープなど見どころはたくさんありました。近年、美麗なリマスター版が出ているそうなのでもう一度見直したいです。
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