テレビ朝日が制作した2本のドキュメンタリー番組が元になっているとのこと(どおりで見覚えが)。2021年8月の横浜市長選に至る諸々の経緯や当時の感情が鮮やかに蘇った。
横浜の港のドン。全国港湾の親玉である藤木幸夫氏は保守の重鎮でもある。IR推進派、そして計画は白紙だと嘯いてきた市の職員がひたすらに経済効果をしか語らない一方で、彼はギャンブル依存や子供たちへの影響を危惧する。ネオリベ的態度/価値基準がすっかり標準化したこの国では、いまや珍しい保守の生き残り、希少種と呼べようか。
当時、自分は横浜に引っ越してきたばかりだったが、この件は人ごとではなかった。藤木氏自身しみじみ述懐している通り、本当に守れて良かったのは「主権在民」であった。その最後の一線だった。林前市長がいかにトボけようが(本当に惨めな生き方だと思う)、政府が小此木八郎をどんなに推そうが、そんなことは関係ない。「主権在民」が不確かにもなっている昨今、それを証明できたことがこの国の財産になるのではないか。
