mako

ハマのドンのmakoのレビュー・感想・評価

ハマのドン(2023年製作の映画)
4.5
《主権は官邸にあらず、主権在民。》
◎90点

監督: 松原文枝。
監督の舞台挨拶付きで鑑賞。

御年91歳(横浜市長選当時。現在93歳)。
最高権力者に挑んだ“ハマのドン”こと、藤木幸夫のドキュメンタリー作品。

2019年8月、藤木幸夫が横浜港をめぐるカジノ阻止に向けて立ち上がった。地元政財界に顔が効き、歴代総理経験者や自民党患部との人脈、田岡一雄・山口組三代目組長ともつながりがあり、隠然たる政治力をもつとされる保守の重鎮。
その藤木が、カジノを推し進める政権中枢に対して、真っ向から反旗を翻した。今の時代が、戦前の「ものを言えない空気」に似てきたと警鐘を鳴らし、時の最高権力者、菅総理と全面対決した。
決戦の場となったのは横浜市長選。

本作はいかにしてカジノ誘致を覆したのか。港に生きた男と市民の物語。
横浜市長選の舞台裏や藤木氏の半生や人柄を知ることができました。
自ら最も古い自民党員と言っており、藤木も当初(安倍政権下)は、日本企業によるカジノ運営を黙認してきた。だが安倍政権で横浜に引き入れようとしていたのが、米国のサンズをはじめとした海外の大手カジノ業者だったことに気づき怒りが爆発する。
ギャンブルの危険性(ギャンブル依存症、それに伴う家族崩壊)を講演で知り、カジノ反対へと舵を切った。

反対と言い出した時、永田町や霞ヶ関はいずれ妥協するだろうと懐疑的な見方が大勢だった。
だが、藤木を知る昔馴染みの友はそれはないと思っていた。

ニューヨーク在住のカジノ設計者・村尾武洋さん。全米でカジノ設計を30件近く手がけてきた人だが、ANNニュースサイトで見た藤木の言葉に打たれ、藤木に協力するべく横浜で記者会見を行い、カジノ実態を公にした。村尾さんの話も興味深く、カジノの事も知れました。カジノに入場したら出づらい設計とか。

横浜を愛し、港を愛した男の本気が横浜市民を動かし、カジノ反対の運動が広がっていった。
横浜市民の行動力も素晴らしいと思いました。カジノ反対はもとより、横浜市長選の結果でそれが見て取れました。
横浜市長選では、現職の林文子、菅側近の現職閣僚・小此木八郎、藤木が押し立てた無名の新人・山中竹春、三者三様の選挙戦で面白かった。

古参の自民党員でも、おかしな事に気づいたら異を唱える。
中々出来ない事を藤木さんはやり遂げ、素晴らしいと思いました。
今の世の中、忖度や妥協が蔓延り、NOとなかなか言えないのに。
本作を観てたら藤木さんのファンになりました✨
男の中の漢だなと思いました。

政府が決めた事でも、おかしいと思ったら声をあげなければならない。
政府の言いなりになったらだめ。なんなら政府が推し進める物は疑ってかからないといけないと、コロナ禍を経験して思いました。

監督のお話も興味深く、楽しめました♪
カジノ設計者・村尾さんのシーンは日本のみ。海外ではカットされているそうです。

パンフレットを買い、監督のサインも頂きました♪

本作を鑑賞中、見覚えあるシーンがあるなと思っていたら、監督のお話の中でテレビで放送されたと。それを観てました。
「ハマのドン“最後の闘い”─博打は許さない─」が放送され、反響が大きく、映画化されることになったそうです。


劇場鑑賞数 #88
2023鑑賞数 #98
mako

mako