Koichi

法廷遊戯のKoichiのレビュー・感想・評価

法廷遊戯(2023年製作の映画)
4.0
「弁護士」「被告人」「死者」となった
3人の秘密──
残酷で、甘味で、あまりにも
衝撃的な真実に驚愕の結末が…

過去に過ちを犯した学生・久我清義の秘密が暴露されたことをきっかけに久我清義 、織本美鈴 、結城馨 の3人の運命が動き出す法廷ミステリー。

今回の作品は主人公3人の過去に秘められた罪と罰、そして真相と復讐がキーワードだ。

物語は3人が通うロースクール時代から始まる。セイギと呼ばれる学生、久我清義の過去が暴露されたことから、運命が動き出す。

久我清義 と織本美鈴 は兄妹のように生きてきた。彼らには想像もつかない凄惨な過去があり、二人は互いを思い合い寄り添って生きてきた。だがその思いは強すぎた故に歪んだものになっていたのかもしれない。そして、彼らはそのことに気づいていないかったのではないだろうか。いやむしろそんなことを考える余裕すらない過酷な人生を歩んでいたのだろう。

一方、在学中に司法試験を合格するほどの天才・結城馨は何を“思い描きながら”殺害されるまでの人生を歩んできたのだろうか。それはまるで、こうなることを…。いや、これは物語の中核を担うことであるため、ここでは伏せておこう。

今回の作品は物語が秀逸というだけではなく、キャストの素晴らしさにも注目すべきところでもある。淡々とした表情の中で過去に苦しみ、常に罪悪感を抱き続ける青年を永瀬廉が演じている一方で、感情を露わにする杉咲花の強烈な印象はこの作品の物悲しさをさらに強調していたと言ってもいいだろう。

とにかく“あの濃密な内容”を97分という時間にまとめあげたことが素晴らしい。全く無駄がない、むしろ一コマたりとも見逃してはならない、そう思う作品だ。
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