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法廷遊戯のLarkのレビュー・感想・評価

法廷遊戯(2023年製作の映画)
2.0
2つの冤罪事件が絡む中で3人の主要登場人物の想いと企みが錯綜した本作。

劇中では「無辜ゲーム」と呼ばれる模擬裁判を行うシーンがあり、まるで作品全体が『法廷遊戯』という無辜ゲームのようである。

ネグレクトを受け虐待され施設で育った織本美鈴役の杉崎花と、同じ施設で育った久我清義役の永瀬簾。
父親を冤罪被害が原因の自殺によって亡くしている結城馨役の北村匠海。

同じ施設で育った2人が起こした冤罪被害によって結城馨の父親は自殺しており、その3人が同じ法科大学院の学友であるという相関関係があり、
父親の冤罪事件と織本美鈴が被告人となった冤罪事件の2つの事件が絡み、一見して複雑な事件関係と人物関係である。

「有罪か無罪かは裁判官が決めますが、冤罪かどうかは神様しか知りません」という結城馨の言葉が、司法の限界を端的に言い現わしており、この作品の全てを物語っているようだ。

出来るだけ良い点を挙げたいのだが、残念ながら少ない。思いつかない。

最も良い点は、生瀬勝久の弁護士の芝居が絶妙で素晴らしいことである。
良い感じにもごもご話していて、芝居してなくて素晴らしい。

『法廷遊戯』というタイトル名が、司法を煽っている感じで面白い。

全体的に間延びしてるように感じて、映像としても話の展開としても、平坦で退屈である。

展開の盛り上がりはあるが十分ではなく、ミステリーとしても物足りない。

原作小説は読んでいないが、評価が高いようなので脚本の問題なのか、映像化の問題なのか、とにかく退屈。

司法の限界、児童虐待、痴漢冤罪など社会問題が盛りだくさんだと、一つひとつの深刻な問題が軽くなっている印象となり、さらに、同じ人物が2回も児童虐待の被害に遭う設定などは、登場人物の人格形成のために利用してる意図があからさまで、あまり好きではない。

俳優達は頑張っていたと思うが、映画自体が間延びしていたので、芝居も単調に感じられた。

司法の限界をテーマにした映画ならば、是枝裕和監督の『三度目の殺人』の方が断然素晴らしかった。
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