風神

バンクシー 抗うものたちのアート革命の風神のレビュー・感想・評価

3.5
BSフジ放送分を録画して鑑賞。

アーティストとしてのバンクシーよりも
人としてのバンクシーが
少しだけ理解できた。
美術作品と一言で括るのではなく
社会的なムーブメントや
カルチャーの一つとして
表現されていたので
個人的に、いろいろ納得できた。

インタビューに答えてる人達が
バンクシーを知ってるし
途中、本人へのインタビューもあるし。
その存在すら確認できないような
印象もある人ですが
ちゃんと実在するんだなぁと。

ブラジルは美人が多いから
行っちゃダメって言われたって
その当時の彼女さんは
嫉妬深かったのかな?
なんか、こういうエピソードは
人としての存在感を強く感じて
ホッコリする。

以前
東京の寺田倉庫で行われた
『バンクシーって誰?』展を
見に行こうと思ったけど
これって、
本人にお金がいくのか不明だったのと
こういう商業主義的展開が
本人の制作方針と合ってない気もするから
なんか気が引けていかなかった。
行ったら型録欲しくなるだろうし
そこで買うグッズは
誰の利益になるのかわからんし。

さすがイギリス
パンクロックの国って思ってたけど
ニューヨークスタイルの
影響から始まってたのか。
あのニューヨークの地下鉄は
無法地帯の象徴のイメージしかないし
芸術とは程遠いものと今でも思ってる。
文字を装飾するだけの物ではなく
イラストやアイディアで
個人の主張を表現してくると
アートだねって感じる。

所謂なんでもアリで
言ったもん勝ちでもある現代アートは
理解不能な作品や作家も多いが
バンクシーの分かり易さと
シニカルな所が好き。

パレスチナの壁に描かれた作品は
今の戦争を止めることは出来なかった。
でも、自分はあのニュースで
バンクシーの存在を知った。
こういう人がいるんだと。
戦争行為で泣くのは子供だと
現地の壁に描いた人がいるのだと。

イギリスの警官の作品も好き。
警官を組織として責めるのではなく
個人として描いている作品も、
公平に感じるし作品に冷静さを感じる。

芸術テロリスト。
不思議な言葉。

個人的に好きなアーティストは
ルネ・マグリット
サルバドール・ダリ
ジョナサン・ボロフスキーなど、
わかりやすく変わった人達。
なのでバンクシーのノリも大好き。

あのシュレッダー事件は
失敗に終わったが
それを実行する発想も大好き。
投機目的の美術品購入への
作家本人によるアンチテーゼは
自分のような庶民からすれば
「いいぞ!もっとやれぇ〜!」ってなる。

個人的に
この人が誰で
どんな考えを持っていても関係ない。
ただ
あの戦地で描かれた作品の素晴らしさ。
それだけで充分なのです。

2024-7
風神

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