ゲイリー冨久津

ブレイキング・ニュースのゲイリー冨久津のレビュー・感想・評価

ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)
4.0
香港ノワールの名匠ジョニー・トーが、警察と強盗団のメディアを巻き込んだ攻防戦をスリリングに描いたサスペンスアクション。

汗くさい香港映画。楽しそうなので鑑賞。初見でした。

冒頭7分のワンカットでのアクション。
逃走準備の強盗団とアジトを突き止めた張込み刑事グループ。そこに普通に通りかかった警察官2人の職務質問が行われ、街中で銃撃戦が始まり…を見事に演出。

撮影カメラはアジトのアパート前から上に上がって2階の窓から中の様子を伺いつつ、また下に降りて刑事の車の中の様子、外で張込みしている別の刑事の様子、ご近所の様子、銃撃戦までを上下左右グルグルで素晴らしい仕上がりで冒頭から盛り上がる。

その後、強盗団はまんまと逃げ切り、巨大団地に逃げ込む。
現場刑事チームも追いかける。
逮捕失敗を報道するメディア。
民衆からの批判を受け、信頼回復に動き出す、警察上層部。

強盗団と現場の刑事チームと指示する警察上層部(上層部の現場トップは美女)の3つの思惑が交錯する。
強盗団→団地から逃げたい。
現場刑事→俺たちが捕まえる。
警察上層部→特殊部隊など総動員。こっちに考えあるから現場は勝手に動くな。

銃撃戦や爆発アクションはもちろん満載です。西部警察の10倍増しなイメージ。

他にも、

犯人側、警察上層部それぞれメディアを使って印象操作を企む頭脳戦。
団地内の強盗団、団地を包囲する警察とその周りを取り囲む野次馬とメディアといった構図は『狼たちの午後』を連想させる。

団地内部での強盗団側、刑事側、その他の側で繰り広げられる男臭いブロマンス的な要素。

香港映画に於ける、調理シーンからテーブルに皿が続々と出てご飯を食べるシーンの楽しさは何?

などなど。

ラストまで三者の闘いが続き、ラストまで男臭い。

昔懐かしい男臭いドラマも、今観ると少し笑える部分もあるが、映画としては今観ても面白い。

当時の香港映画の熱量と勢いをこれでもかと感じる素晴らしい映画。
ゲイリー冨久津

ゲイリー冨久津