たむらもとこ

ピストルライターの撃ち方のたむらもとこのレビュー・感想・評価

ピストルライターの撃ち方(2022年製作の映画)
4.1
ずっと漂っている閉塞感

いつからなんでこんな事になったのか
どこから何を間違えたのか
いや、間違えたのは本当に自分なのか?
そもそも間違えてなんかいないのか?
いろんな価値観がぐわんとなって
苦しくなる

こんなもんだろうよって
現実を見て生きていくしかない

このままじゃ終わらねーぞって思いながら
あきらめにも似た優しさのせいで
その一歩が踏み出せずにいる

逃げられたらいいけど
捨てられたらいいけど
他にも現実はあるはずだけど

他の道なんかないんだって
他の道だってたいして変わんねーよって

生きていくために
たくさんのものを飲み込んで生きている

それでも
どんな時だって
海はかわらなくて
星は綺麗で
酒のんでくだらない話をするのは楽しくて

それ以上何を望むわけでもないのに
それすら奪われていく
そしてさらに閉塞感は堆積していく
放射能のように

ちょっと先の未来?
今の現実?
既視感に足元がグラグラしてくる

すごく苦しくて
怖くって
だけど

泥の中で美しく咲く蓮のように
汚れた中に美しさがかいまみえる

たくましさと優しさを感じる
とってもあたたかい作品だった
たむらもとこ

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