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上飯田の話のKSatのレビュー・感想・評価

上飯田の話(2021年製作の映画)
3.1
知り合いが出演していたので鑑賞。

個人的に横浜市内の相鉄線沿線や横浜線沿線の絶望的に家しかない感じがそんなに好きではないので、ハマれず。

1話目の不気味さは良かった。あのリアルな保険屋の演技の積み重ねがあるからこそ、ラストのアップが怖かった。公園やショッピングセンターにいる素人の人達の営み(キャッチボールや会話など)をそのまま生かすのは、あざとすぎるけど、まあ、面白い。

しかし、2話目は全く街の話ではないからタイトル詐欺に思える。家の噺としても面白くないし、最後に花火というエモエモな道具に走るのは浅はかだ。例えば、普段料理しない男が「これが漢の料理だ!」とかいって料理する展開の漫画やアニメ、ドラマ、映画なんかの多くは、だいたいカレーを作ることが多いと思う。それくらいベタすぎる。

3話目は一番抽象的というか、急に街の話になってはいるけど、それがあざとい。確かにPOV的視点やバナナの木のじいさんは面白いけど、上飯田という土地の面白さではない。あの居酒屋の情景は確かに良いけど、あんなものは大阪でも名古屋でも、練馬や新宿にも、なんなら同じ横浜の関内とかにもあるものであり、上飯田という場所の特有さではない。そして、実際に居酒屋で呑みながらその場で他の客や店の人と喋るのは楽しいけど、それをスクリーンでもって見ることは必ずしも楽しくないことをこの映画を通して知れた。

なんというか、タイトルに地名が入ってるのが逆にネックなのかなあ。やろうとしている試みや映画としての作りで遊ぼうとすること自体は面白いんだけど、最終的に、「じゅん散歩」で高田純次が面白くない街を歩いて必死に色々なものをイジって面白くしようとするハズレ回を見ている気分になってしまった。

しかし、ちょっとした工夫次第で金がなくても映画はできるという一例になったし、元気は貰えました。
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