このレビューはネタバレを含みます
トーク・トゥ・ミー観た。
期待しすぎた感は否めないけど、それにしたって微妙な内容だった……。どうなってる?
snsの悪ノリ至上主義を通して、「若者に蔓延るドラッグ問題や内的外的問わず依存することの危うさを、ヤバい呪物を使った降霊術の恐ろしさに見立てる」っていうアイデアはとてもスマートで、魅力的に感じた。
ただ、結局はドラッグと降霊術は別物だし、脚本の中で「どっちもノリで手を出したらヤバイよね」っていう以上の関連性が見いだせてないので、ただの「心の弱い主人公が霊につけいられて破滅するホラー」でしかなくてつまらなかった。
自分としてはあらすじがおもしろさのピークだった。
ストーリーがそのくらいの薄さなので、ホラー表現が露悪的だったり印象的なシーンが矢継ぎ早に来るのを期待したけど、それらも中途半端。
哭悲なんかはつよつよアイデアと鮮烈なグロのみで勝負する潔さがあったけど、こちらは主人公の描写に時間をかけすぎてホラーとしての見ごたえもかなり薄味に感じた。
逆に言えばミアの依存の描写はかなり丁寧ではあるんだけど、これも「ママの自殺」とか「寂しさ」っていう奥行きのない一言二言で説明できるのでやっぱり冗長に感じた。
もっと言えば、その長さを緊張感でごまかすためなのか、大したシーンでもないのにクソデカ効果音のジャンプスケア連発でかなりイライラさせられた。
そんなんだけでホラーっぽくされても困る。
弟が軽く枕投げてきたぐらいでそんなデカい音が出るかよ。(文句)
手の置物のビジュアルはたしかに良かったけど、これもストーリー上ただの不気味なアイテムでしかなかったのが残念。
あんな禍々しい見た目のモノ、置いてあるだけでいろいろ起こってほしいし、もっとルーツとか書いてある落書きの内容とか知りたくなるけどな……。
まあ普通のホラー映画に期待しすぎると、こういう感想になる、ということなんだろうな。
だって最近のホラー映画はおもしろいのが多すぎるんだ。
胸糞悪さとか得体の知れなさの演出はアリ・アスターがすごいし、人間の内面の考察はジョーダン・ピール、エンタメならジェームズ・ワンとか、エクストリームなデイミアン・レオーネとかいっぱいいて楽しい。
自傷シーン一つとっても、女神の継承とか呪詛がパーフェクトすぎる。
そう考えると、やっぱり本作の相対的な満足度は低いな、と思った。