黒苺ちゃん

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの黒苺ちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ドラッグ文化と若者の精神的な不安定さを降霊術と憑依に置き換えたホラー映画だった。

治安悪めの若者たちの間で流行っていたカジュアルな降霊術がある日失敗して、少年が悪霊に取り憑かれる。事故のきっかけを作った女性が彼を救うためにいろいろするのだが、実は彼女は過去に母親をオーバードーズで亡くしていて、その悲しみと孤独を誰にも言えずに抱え続けていた。やがて彼女の前に母の霊が現れるようになり、「少年を救うにはもう殺すしかない」と囁く。彼女は錯乱し、殺人を実行しようとするが、、、という話。

物語の中心は母の死を受け入れられず精神的に疲弊し、他者との繋がりを過剰に求めたために結果として霊に惑わされる女性にあって、その意味で「Talk to me」という言葉は作中の降霊の呪文であると同時に、こうなる前に彼女にかけられるべきだった救済の言葉でもあると思った。

『エクソシスト』みたいな一世一代の悪魔祓いは登場せず、tiktokの動画を撮るみたいにカジュアルにほいほいと降霊術を試す描写が新しく、また取り憑かれた少年ではなく周りの女性の精神的な不安と錯乱行動をオカルト的な憑依現象に重ねて描くところがとてもおもしろかった。
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