熊犬

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの熊犬のレビュー・感想・評価

4.0
【気が付けば恐ろしい所に行きついていた…そういう感覚】

原題:Talk to Me

高校生のミアは母親を亡くして以来、父親との関係が悪くなり、学校でも人間関係がうまく行かず、ただ一人の親友の家に頻繁に泊まり込んでいた。そんな中、気晴らしに行ったパーティで、流行りの遊びを経験する。その遊びは、エンバーミングされた"手"と握手をして、「Talk to me」と話しかけると霊が見え、「I let you in」と唱えると霊が憑依するというもの。ただし憑依した状態で90秒を超えてはならないのがルール…
ミアは嫌がる親友を尻目に、そのスリルと周りから得られる注目にたちまちハマっていく。その様子を見ていた親友の弟がこの遊びにチャレンジした時、彼に憑依したのはミアの母親だった…
…な映画。

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2024年最初のホラーは、みんな大好きA24配給のこの作品。レビュー遅れたけど、1月1日に観てきた。

オーストラリア発のホラー、人気YouTuberの初監督長編低予算映画、とまあ実は半信半疑だったものの、予告編が怖そうだったのでそこそこ期待値は高めに観に行った。いや~、これはまあ、良品ホラーですな!期待をきっちりと超えて、おもしろ怖い!

序盤は若者のパーティーの無鉄砲さや同調圧力によるちょっとイヤ~な空気感で、正直少しダルい。でも、その嫌な空気感がだんだんと不穏になっていき、ある事をきっかけに爆発する。そうなるともう一気に怖い。取り返しがつかない所まで来てしまった感じが緊迫感となり、後悔と混じってリアルな恐怖となっていく。この空気感の変化がお見事。

この怖さ、結構新しいジャンルな気がする。ジャンプスケアではなく(少しはあるけど)、グロ的な怖さでもなく(少しはあるけど)、ジャパニーズホラー的なひたひたと忍び寄る怖さとかでもなく(少しはあるけど)、ただただ不気味とかでもなく(結構あるけど)。ふと気付いたら、ついさっきまで何も考えずに楽しんでいたのが信じられないくらい恐ろしい所に行きついていたみたいな。そこからは後悔とともに、ただただ得体のしれないものに追い詰められていく怖さ。う~む、すごい。

■本日のビール『Dark Force』
醸造所: Haand Bryggeriet (ノルウェー)
ノルウェーのハーン醸造所は、ノルウェー語で"手"を意味する名前の醸造所。ラベルには鷲掴みしたような手形がプリントされていて、持ってみたらまるで握手の様…
Dark Forceは寒い日を温めてくれるチョコレートの様な9%のインペリアルスタウト。寒いのに更にゾッとした夜は、こういうビールで暖まりながら眠りに落ちるのもまた良し。
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