シカク

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのシカクのレビュー・感想・評価

4.2
前々から、サンダンス映画祭を沸かせ、A24が配給権を獲得したという触れ込みから期待していたが、その期待以上の熱い映画でした。

1人の男が、とある家の庭先で、誰かを探し歩いている。その家では恐らくパーティみたいなのが、催されているらしく、家外でさえも若者達の喧騒でごった返している。そんな中男の足取りは忙しなく表情は神妙さが読み取れる。その探している、親しいで仲であろう誰かの「名」を、若者らに投げかけなげら、尚も休むことなく突き進み、遂には家に入り込む。

この冒頭の顛末も含め、緊張感を帯びたワンカットシーンで掴まれて、ずっと離さない。この動きあるシーンのテンポ感や、特に中盤以降の夢か現か(取り憑かれているかシラフか)の境目が、混濁してぼやけている時の、切り変わりが上手く非現実を表現力で魅せる演出手腕に唸る。youtubeで培った、遊びの感じられるカメラワークや演出および編集が、冴え渡ってたと思う。
まず、一番に憑依=ドラッグ、そしてそれを取り巻き熱っぽくなる若者たち、という発想が良く、そこで終わらせず映像の表現を用いて、伝えたいシークエンスを物語に落とし込めるのは、もう既に決定している続編に期待をして待っとけってことですよね。
 
今日日のホラー映画界に於ける、憑依というベーシックなモチーフに、Z世代やSNS世代に代表される若者の、時として行き過ぎた、帰属意識と承認欲求に落とされる影を持って来る辺りもセンスあると思う。憑依=ドラッグ=快楽(極めて感覚的な気持ちいい)を軽薄な気持ちで触れ、行き着く末は、あまりにも重い代償という型も、監督の思惑通りハマった快作。

あと、呪物の切り落とされた手が、衛星保全でコーティングされた霊媒師か超能力者のスピンオフ観てみたい。是非頼む!!
シカク

シカク