AKANE

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのAKANEのレビュー・感想・評価

5.0
ホラー好き私「ヘレディタリー/継承」以来の約5年振り久々の満点作品。世界的大ヒットも超納得、チャンネル登録者数680万人のオーストラリア出身の双子YouTuber監督によるネット世代への警告型新感覚ホラー。

1、呪物の手を握る 
2、「Talk to me(私と話して)」と唱える
3、霊が現れるので「I let you in(中に入れ)」と唱える

上記の方法で、簡単に100%霊を自分に憑依させることができ、 SNSで 90秒憑依チャレンジとして若者の間で流行&拡散。ただ、ひとつだけ絶対に守らなくてはいけないルールは「90秒以内に呪物から手を離す」こと。もし90秒以内に手を離さなかった場合、体に入った霊がそのまま抜けなくなってしまう。そんな危険と隣り合わせな「自分自身に憑依させることで得られるスリルと高揚感」にハマる若者たちを描いた本作に、1度だけみた予告以外には事前情報を一切いれずに挑んだのですが…実際のところ、鑑賞前はよくあるPOVのような安っぽい感じなのかな?満足できるかな?と疑う気持ちもありましたが(失礼)完全に、期待を、大幅に、超えてきてくれました…!しっかりとドラマがあり、たくさんの伏線があり、主人公だけでなく他の人物像もしっかり頭に入ってくる。各キャラの視点や心境、ストーリーの展開や構成、時間配分がほぼほぼ完璧だなと思わずにはいられなかったです。動画と映画というものはまったく別物だと私自身おもっていましたが、それは監督サイドも同じだったようで、YouTube動画のように冒頭から勢いだけで押し通したりは決してせず、観客をじわりじわりと物語に引きずり込み、その世界に最後の最後まで取り込み続ける、その凄さと巧妙さ。微塵も手を抜かないで作ってくれたんだなというのがビシビシ伝わってきます!(拍手)ジャンプスケアや最近多いCGに頼り切ったホラーでもなく、ただ怖がらせることを目的としたホラーでもない。人の心の闇をとても上手く物語に落とし込んでいて、本作のタイトルでもあり、憑依の儀式の言葉でもある「Talk to me(私と話して)」がとても大事なキーであり、ラストに繋がる大きな伏線になっているのを作品から感じられると思います。感じて下さい(圧)

また、とある方のインタビューで「日常に近ければ近いほど怖い。それはホラーに限らず、普通の暴力描写であっても。私たちは日常的にお風呂に入るので、浴室タイルの硬さを知っています。頭をガンガンぶつけたときにどうなるのか。その衝撃でタイルが剥がれるのは、どれほどの力なのか。なんとなく想像がつくと思うんです。そういう意味で痛みをリアルに感じられる。「ブラック・スワン」でも指の逆剥けが腕のほうまで行ってしまう描写がありましたが、そういうタイプの怖さ」と本作のことを表現している方がいましたが、まさにその通りです。それに加え、良い意味で宗教観が0でした。(最近はめちゃくちゃキリスト教がなにかとホラーに絡みがちだとおもっていたので)

上映時間95分ですが、作品に入り込みすぎて本気の本気で一瞬でした。自分の住んでいる地域ではTOHOの上映がまったくなく、普段行かない小さめのシネコンで鑑賞するしかなかったのですが、小さめなスクリーンとはいえ、しっかりめに傾斜があって前の人の頭がまったく視界に入らないのも良かったかもしれません…まだ今作を観ていない方はそろそろ上映終了間近なので、ぜひスクリーンで。ぜったいに後悔させません…🦘(責任は取らん㌔)
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