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天国か、ここ?のmのレビュー・感想・評価

天国か、ここ?(2023年製作の映画)
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いまおかしんじ監督、「れいこいるか」以来?の自主映画。
いまおか監督の作品でずっと描かれてきた生と死・この世とあの世の境目の曖昧さが濃密に全開になり、いまおか監督の頭の中というか夢をそのまま見ているような感覚になった。もうこの世にはいない人たちへの感情が心に沁みる。
なんだかんだで高校の頃からいまおか作品を見ているお陰で、腑に落ちる感覚があった。もういないけどいる。会えないけど会える。生も死もどっかで繋がっている。

YouTubeの睡眠用BGMみたいな音楽がエンドレスで流れ続ける中で、ほぼ全ての台詞にめっちゃリバーブかけまくったようなエフェクトが付けられているのが作品全体の彼岸感を高めまくっていて、「窓辺にて」といった商業作から「僕の帰る場所」のようなゴリゴリのインディーズ映画まで幅広く活躍する弥栄裕樹氏のサウンドデザインが作品に多大に貢献している。どのタイミングで音楽が転調するのか、どのタイミングで台詞からエフェクトが外されるのか。音の演出に魂が込められている。

奔放さを魅せた女性が主人公に名前を訊かれて『由美香!林由美香!』と叫ぶ所で、思わず涙ぐんでしまった。うん、また会えますね。
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