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12日の殺人のyuzameのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.0
落下の解剖学とよく似た構造の話だった。
舞台もフランスの田舎。
どちらも殺人事件と
その捜査をきっかけにして
事件の真相とは別の、そこにあった問題が
図らずも炙り出されていく。
こちらの作品が照射するのは、
「ザ・男社会」な警察や、
若い女性が女の子であるだけで
被害者となってしまう現実。

よその家で立って小便して、
飛沫を飛ばす事。
壊れたコピー機にキレて大声で怒鳴る事。
出頭してきてくれた人に対して、
伴奏無しでラップを強要する事。
結婚が決まって機嫌が良い同僚に
おめでとうの一言も言えない事。
無しだわ〜って思うエピソードの
チョイスが絶妙だった。

ナニーがとっても良い子だった。
私がナニーの立場だったら、
良い子だけどちょっと男にだらしない
クララのような女友達が
もし殺されたとしたら、
「自業自得」だと
全く考えないと言ったら嘘になる。
クララが殺された理由は女の子だからだ。
ナニーの言葉に恥ずかしながら
ハッとした。

性に奔放な女の子や
DV逮捕歴のある男と暮らす女性、
褒められたものでは無いけど、
否定される筋合いもない。

常に予断を持って
対象の人物と接する警察官達。
それが仕事だけど、なんか危うい。

ヨハン、良い顔してたなぁ。
ホモソな環境で、
そこに浸かってはいないと
ちゃんと分かる。
かと言って弱そうには見えない。

終盤のナディアのセリフ
男ばっかりが犯罪を犯して
男ばっかりが捕まえる。
これぞ男社会。
極端だけど、頷けてしまう。

筋とは全く関係ないけど
クララの趣味がボルダリングだし
山が綺麗な場所だったから
グルノーブルで調べてみたら、
ブリアンソンとかシャモニーが近かった。
やっぱりクライミングがポピュラーな
土地なんだなぁって思った。
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