散歩

12日の殺人の散歩のレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.7
冒頭の送別会のシーンを見て「今時日本映画でもここまで男ばかりってあんまりないよなぁ」ってちょっと気になっていたら、実はそういう作品だったっていう。「男と女の間にある溝」や「男が事件を起こして男が捜査するのは・・・」って言葉が出てきたりはしますが、アメリカ映画ほどジェンダー論をグイグイ突き付けてくる感じでは無く最後まで観終わった時に「あぁ、今考えるとあそこもそういう意味があったのかな」ってジワジワと心に浸透してくる感じの作品でした。全てがそうって訳ではないんですがフランスをはじめとしたヨーロッパ映画のジェンダーの語り口の方が個人的には好みなのかも。主人公が自転車でトラックを走るシーンが何回も出てきますが、捜査が進まない中で視点が全然変わっていかない彼らの問題と、変わりそうで結局何も変わらず同じ状況を巡り続ける社会の閉塞感のどちらにも感じられて個人的に面白かったです。ラストで視点が変わるかのようなシーンになりますが、それが事件解決や社会の変化に対する希望を表しているのか、は正直分かりません(現実の事件も社会問題も解決しているわけではないので)。でも、それでも進み続けなければならない訳で、見方によっては力強いラストにも感じられて結構好き、かも知れないです。


離婚理由と便座の話が時間が経ってから「あ~なるほど」ってなりましたね。こういうさり気ないのが思っているより多いのかもしれないなぁ。
散歩

散歩