レインシンガー

12日の殺人のレインシンガーのネタバレレビュー・内容・結末

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレに違いないのだが、結論としては、何も分からないまま終わるのか!?ということである。

いや、冒頭に「未解決の殺人事件の映画化である」という説明が示されるので、その通りじゃん、といえばそういうことなのだが、だったら、なんでこの映画を作ったの?という気持ちになる。
ドミニク・モルの前作「悪なき殺人」は、ある人物の死の理由から派生して、どんどん人物のつながりが描かれ(ある意味「風が吹けば~」である)ていって、どんどん予想外のところへ連れて行かれるサスペンスの快作だった。また、だいぶ前の作品だが「ハリー、見知らぬ友人」という作品は、題名からも分かるように、ストーカー系のサイコサスペンスだった。
つまり、サスペンス系の作家だと思うし、ある意味それを期待して観に来ているわけだ。(期待は君の勝手だと言われればそれまでだけれど・・)

そして、もちろん、或る殺人事件(かなりひどい・・)が描かれ、そして、それを刑事たちが何年もかけて捜査し続けるが、結局結論は出ないまま終わるさまを描くこの映画は、そのそれぞれの描写にはサスペンスがあり、人間関係の面白さもあり、特にフランスの「女性の扱い」の現状へのコミットは見どころだと思う。

しかし、それらを認めた上で、この映画は(あくまでも私の)期待には応えてくれない。
結末のはっきりしない殺人事件でも、それを映画化するなら、ストーリー的に工夫や技巧がもっと観たい、と思いながら、ずっと欲求不満のまま2時間を見終えることになった。
だからフラットに考えれば、悪い作品ではないと思うのだが、これでいいのか?これを見せたかったのか?と思ってしまう。

みなさんの読み解きを読ませていただこうと思います。
とりあえず自分は、口直しに家で「悪なき殺人」を見直してみることにします。
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