六四二

12日の殺人の六四二のネタバレレビュー・内容・結末

12日の殺人(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ひとつの殺人が、被害者の周辺、そして事件を捜査する人間に波紋のように影響を及ぼす。そして被害者が知られることを望まなかったであろう生前の素行が丸裸にされていく。
ジャンル映画のようなタイトルと予告に誘われて犯人探しや猟奇的な犯行を期待すると肩透かしを食う。人間の機微を映画で感じるのが好きならば最良の映画だろう。
線の細い無口な新任班長ヨアンがはじめは物足りなく感じる。お話の途中で私は何度もその存在を見失う。それだけ存在感がないが、現代のリーダーには相応しい気質のようだ。劇中では世代交代のことを明確に意識させられる。退場することになるベテランの刑事マルソーが若い世代の捜査対象者にキツイのだが、その気持ちに同調する自分も旧世代の典型かもしれない。
終盤、頼りなかったヨアンを少し好きになっている。無口な人が物事に不熱心なのでは決してない。そのことを思い知らされる。そして、決別したかにみえたマルソーとの交流。
いいラストだ。
六四二

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