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12日の殺人のsazanamiのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.6
かなり地味なドラマですね。でも、不思議と惹きつけられて見飽きなかった。

警察ドラマの定番とも言えるドンパチがなく、デスクワークシーンが多い。でも、その地味さに強いリアリティを感じました。
世界は、派手なできごとだけでできているわけじゃないからね。
取り調べも、下手すると単なるぐだぐだに見えるシーンもあったけど、実際はあんな感じなんだろうなぁ、と思いました。

リアリティがあるのは警察だけじゃない。クララのように奔放な子、彼女の家族や友だち。容疑者として浮かんだ、不誠実な男たち。
クララは奔放な子だけど、罪を犯したわけじゃない。ステファニーがクララが殺されたのは「女の子だったから」と言ってたけど、親友が殺されて犯人が見つからず、憤懣遣る方ない彼女がそう考えるのも無理はないと思う。

ところで容疑者の横でずっとスマートフォンをいじっていた弁護士。事件に対するやる気のなさが見えて、奇妙なおかしみを感じました。弁護士としてその態度はどうなのか、と思ったけど。

解決しない事件とトラックの中をひたすら自転車で回っているヨアンが重なって見えてたけど、ラストで無事公道に出てよかったと思った。時間が経って新しい相棒ができたことで、未解決事件を一歩引いて見ることができた象徴のように感じました。

個人的なベストシーンは、壊れたプリンタに悪態ついてるところです。
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