そちらの映画館へ入居希望です

12日の殺人のそちらの映画館へ入居希望ですのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.8
フェミニズム映画だった。実際の未解決事件とともに、女性の社会的立場を問題提起していてとても良かった。

“男と女の間の溝”
“男が人を殺して男が取り締まる”

まさにそう、加えて女性が犯罪を犯す動機は男性であることが多い。そしてそれを裁くのも男性だ。特に日本で起きている事件で記事を通して全貌を知るとそう。

男性が被害者の場合、同情を得られ、女性が被害者だと自衛を求められる。
あらゆる組織の意思決定層が男性なので女性の意思、立場を本当に理解して物事をはかる者がいないため、その結果懸念される問題も軽視される。実際に前例があったとしても、対処されるのは後回し。
平等を主張するならば、“男と女の間の溝”は無視される。
女性が声を上げると情緒不安定だと言われる。世の中のあらゆる事件は男性によるものだというのに。
女性に対する性加害の事件が明るみになる度に、世の中の男性は女性を守るのではなく、女性による冤罪のために声を上げる。冤罪の件数は男性による性加害と比べるとほんの一握りなのに。知りもしないのに女性の服装、素性を知って自分の物差しで被害者をはかり、被害者女性の粗を探す。
男性の性欲は当たり前であり、女性の性的奉仕は当たり前である。またそういった世に蔓延った思想に侵されている女性もいて、男性に奉仕することが当たり前だと言う女性もよくいる。
毎日報道される児童への性的虐待も見ていられない。前科があるのにも関わらず、男性ならば好む職業に就ける。
男性が男性に性加害をするのは酷く避難されるのに。女性、児童に対する加害は同じように扱ってもらえないのはなぜか、自分の経験を重ねて辛く思うことが多いです。

脱線しまくりましたが、実際の事件をフィクションにしたものといえど事件に対してとても慎重に脚本されてるのがわかる。
実際の事件を大幅に変えて商業的に消化する監督もいるからね。そこがすごく良かったかな。
映画では嫌なセリフだなと思うシーンが度々あったが、その度に主人公の班長が咎めるので、どの場所にもこういう男性がいて欲しいと強く思いました。